74歳でも週7で野球指導中。元巨人レジー・スミス氏が語る“日本人”「特に江川と堀内は良いピッチャーだった」【インタビュー】
2019/08/26
角谷剛
MLBで野手が成功するには「大谷翔平を見てごらん」
― あなたは読売ジャイアンツでプレーしたことで日本でも有名です。漫画のモデルにさえなっています。日本での良い思い出と悪い思い出を教えてください。
「最高だったのは日本シリーズに出場したことだね(1983年)。辛かったのは怪我でプレーできない時期が多かったことだ」
― 漫画の主人公であるレジーは日本の野球文化に馴染めず、様々なトラブルに見舞われます。あなた自身もそのような経験をしましたか?
「そんなことはないよ。皆によくしてもらったし、私も家族も日本滞在を楽しんでいた。その漫画のことは聞いたことがあるけど、読んだことはない。ちょっと大げさに表現しているのではないかな」
― 日本ではどんな選手が印象に残っていますか?
「読売ジャイアンツのチームメイトは皆素晴らしい選手だったよ。特に江川と堀内は良いピッチャーだった。他のチームでは山本浩二と衣笠をよく覚えている。大野ってサウスポーもいたな」
― 今ではたくさんの日本人選手がMLBで活躍していますが、投手に比べると野手の成功例はずっと少なくなります。それはなぜだと思いますか?
「まず多くの日本人投手が成功しているのは、彼らのコントロールが素晴らしいからだよ。球種も多いし、それらをすべてストライクにできるしね。野手の方はプレースタイルの違いもあるけど、昔の日本人選手はパワーに欠けていたことが大きいね。でもこれからは変わってくると思うよ。大谷翔平を見てごらん」
― このレジースミス・ベースボール・アカデミーは日本にも支部がありますね。日本の野球少年たちに何かメッセージをお願いします。
「今は日本でも毎日MLBの試合をテレビで観られるらしいし、日本人の体格も大きくなっているから、日本とアメリカの差はどんどん小さくなって、もっともっと日本人選手のMLB選手が生まれると私は思っているし、期待もしています」
スミス氏の口調は終始穏やかで、ゆっくりと気持ちよさそうにしゃべる姿が印象的だった。日本や日本人のことを悪く言わないのは、インタビュワーである筆者を気遣ってくれてのことかもしれない。たとえそうであったとしても、そうした心配りをすること自体が氏の誠実な人柄を示していると言えるのではないだろうか。
角谷剛