「山あり谷あり」でも――大谷翔平への期待は止まない。三振が多くても、それ以上に魅力があるから
2019/09/11
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「3番」での打席数における三振率は25.2%…実は昨季よりも“良化”
ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手が苦しんでいる。10日(日本時間11日)に本拠地で行われたクリーブランド・インディアンス戦に「3番・指名打者(DH)」で先発出場し2打数無安打1四球に終わり、10打席連続無安打となった。
大谷は、8月10日(同11日)から20日(同21日)まで11試合で50打席で47打数21安打1本塁打11打点、打率.447と絶好調にあった。しかし、その後は21日(同22日)から9月3日(同4日)まで36打席で34打数4安打13三振、打率.118と急降下。まさに「山あり谷あり」の夏を過ごした。
大谷は今季主に「3番」で起用されている。同打順では9日(同10日)までに86試合で389打席に立ち354打数100安打、16本塁打、55打点、打率.282という内容だ。
打率2割後半と高水準の反面、目を見張るのが三振の多さ。98三振は3番における全打席の25.2%に上り、3番という上位打線ということから1試合4打席に立つ機会が多い大谷にとって、この多さはやはり課題の1つに数えられる。
では、3番以外の打順で大谷はどんな成績を残しているのか。今季は他に4番、5番、6番、8番、9番で打席に立っているが、そのうちスタメンでは4番で1試合、5番で2試合に出場した。4番として初スタメンとなった9月7日(同8日)のシカゴ・ホワイトソックス戦では、第2打席にダイラン・コービー投手から第17号3ラン本塁打を放つなど3安打5打点と大活躍を果たしている。
9月4日(同5日)から6日(同7日)にかけて2試合連続でスタメン出場した5番では計8打席で二塁打と三塁打1本ずつを放ち、7打数2安打。打席数が少ないことから調子を判断することはできないが、安打の他にここでも計5三振を喫していた。
大谷は昨オフに右肘靭帯再建手術(トミー・ジョン手術)を受けたことから、今季は打者に専念。それでも、昨季も360打席以上に立ちチームに貢献した。「二刀流」として鳴り物入りで入団し、打者として残した打率.285、22本塁打、61打点は大きな戦力となって日米のファンを魅了した。
昨季は中軸では3番で12試合、4番で22試合、5番で24試合(スタメン23試合)に出場。いずれもDHで、その打順別の成績は以下の通りだ。
3番 54打席、49打数17安打、6本塁打、13打点、4四球、16三振、打率.347
4番 87打席、79打数23安打、4本塁打、15打点、6四球、23三振、打率.291
5番 95打席、78打数23安打、4本塁打、13打点、17四球、21三振、打率.295
メジャー1年目ということから、他チームのマークは今季こそ厳しいものではなかったかもしれないが、いずれの打順でも高打率を残している。3番では打席数こそ他より少ないが打率.347。一方で、三振は16個あり、打席数におけるその割合は29.6%と今季の割合よりも多い。
他の打順では、4番での三振割合は26.4%、5番では22.1%となっており、4打席に1つ、あるいは5打席に1つは三振に打ち取られている計算だ。そう考えると、今季の「25.2%」はそこまで“飛び抜けた”数字だろうか。好不調の波はある。シーズンを通じてその波がなく過ごすのはどんな選手にとっても難しいことだ。