ヤンキースの世界一を左右?田中将大の心強さは“被本塁打率” 強力先発ローテでも屈指の数値
2019/09/16
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意外?30登板で27発浴びてるのに…
ニューヨーク・ヤンキースの田中将大投手について、米公式サイト『MLB.com』が15日(日本時間16日)、「各チームでより良いシーズンを過ごしている選手」としてヤンキースの中から選出。今季は6年連続2桁勝利をマークしたが、内容でも米メディアを納得させるものとなっている。
2012年以来7年ぶりのアメリカン・リーグ東地区優勝へ向けてマジックを「3」としているヤンキース。今季は昨季19勝を挙げたルイス・セベリーノ投手やデリン・ベタンセス投手、スタートダッシュを切ったものの途中で離脱したドミンゴ・ヘルマン投手、野手ではジャンカルロ・スタントン外野手やアーロン・ジャッジ外野手と故障者で悩まされた。
しかし、そんな窮地の中で田中は先発ローテーションの柱として投手陣を引っ張り、15日までに10勝(8敗)、防御率4.60でメジャーデビューから6年連続2ケタ勝利をマークしている。
同サイトはこの日、「各チームで良いシーズンを過ごしている選手」を特集。ヤンキースではその田中が選出された。「彼の防御率は昨年(3.75)よりも高くなっているが、プレーオフでは彼を信頼することが正しい」と絶賛した上で、その具体的な理由として「彼のWHIP(1イニングあたり何人の走者を出したかを示す指標)は1.26。9イニング当たりの被本塁打率は、球界全体の本塁打数が継続して増加しているにも関わらず1.4本(1.41本)という数字を残している」と高い水準で投球していることを挙げている。
田中は今季30登板を果たしているが、計172回を投げて被本塁打数は27本。30試合中21試合で本塁打を浴びているので、一見すると本塁打が多いようにも感じるが、14度のクオリティースタート(QS=6回以上を投げて自責点3以下)をはじめ、6回無失点、7回無失点、8回無失点、9回無失点(完封)がともに1度ずつあり、短いイニングで崩れるパターンはあっても、長いイニングを投げることに比例して失点が多くなるというパターンはほとんどなかった。
この9イニング当たりの被本塁打率は、今季チームトップの18勝(4敗)を挙げているヘルマンは1.92本、14勝(6敗)を挙げているジェームズ・パクストン投手は1.38本、12勝(8敗)を挙げているJ.A.ハップ投手は1.97本となっており、田中はパクストンに次いで良い数字だ。しかもパクストンの投球イニングが143回2/3と考えると、172回を投げている田中の数値がどれだけ優れているかが分かる。
田中は、過去のポストシーズンで通算5試合に登板し、計30回を投げて被本塁打は3本。それを9イニングに換算すると0.9本と1本を切る数字となっており、一戦一勝の重みが大きいポストシーズンではこの数字はヤンキースにとって心強いものになるだろう。
今季のヤンキースは地区優勝が濃厚で、ポストシーズンでは中地区優勝が濃厚なミネソタ・ツインズか、ワイルドカードのチーム(現在の進出圏内はオークランド・アスレチックスとタンパベイ・レイズ)と対戦することが有力視される。田中がどのタイミングで登板するかは定かではないが、2009年以来のワールドシリーズ制覇に向けて田中の右腕がチームを左右する1つの要素になることは間違いない。