2019年の大谷翔平、膝に痛み抱えながらもチームトップの盗塁数。来季のカギは手術明けとエンゼルス新監督
2019/10/07
Getty Images
三塁打もチーム1の数字
左ひざ膝蓋骨手術という思わぬ形で2019年シーズンを終えた大谷翔平選手(ロサンゼルス・エンゼルス)。今季は、トミー・ジョン手術明けという点がフォーカスされていたこともあり、まさか左ひざに問題を抱えていたことは多くのファンも気づかなかった事実であっただろう。
膝に爆弾を抱えていたことを全く感じさせないほどに、今季の大谷の走塁面での活躍は素晴らしかった。日米7年間のプロキャリアを通じ、キャリアハイとなる、5本の三塁打に12盗塁をマーク。両方の数字ともチーム内でトップであった。また一塁までの平均到達タイム4.05秒もチームトップ(MLB全体で15位タイ)、平均スプリントスピードの時速約30.94キロはチーム内2位(MLBのDH部門で3位)と高いパフォーマンスを見せていた。
そうした中で、9月24日(日本時間25日)、手術後初めて報道陣の前に現れた大谷。以前から、通常1つにまとまっている膝蓋骨が2つに分かれていたことは知っていたようで、今が手術のタイミングであったと告白。と同時に、シーズン前から違和感があり、走塁時やスイング時にも痛みが時に生じていたことも打ち明けた。そんな痛みを口に出すことなく、涼しい顔でプレーを続けていた大谷にプロのプライドを垣間見た。
とはいえ、今季も手術を行ったことで、2017年の右足首、2018年のトミー・ジョン手術に続き3年連続での手術となってしまった。今オフもリハビリからスタートすることになる大谷。順調に強度を上げてきたブルペンセッションも一度リセットとなる。スプリングトレーニングでの調整遅れ、オープン戦不参加という出遅れが、復帰後になかなかエンジンがかからなかった要因の一つに挙げられたことからも、どう調整が進められるかは来季に向けての大きなカギを握りそうだ。
また、エンゼルスは今季全日程を終え、ブラッド・オースマス監督の解任を発表。大谷のよき理解者でもあったオースマス監督の不在はどのように影響を及ぼすか未知数だ。これで大谷は、来季メジャー3年目にして、3人目の監督との共闘を余儀なくされる。オースマス監督、その前任のマイク・ソーシア監督の両監督は、チーム方針もあるとはいえ、大谷に対し非常に寛容な対応を施してくれた。日本時代も含め、指導者に恵まれてきた大谷は、新監督とも良好な関係を築けるだろうか。
このように、現時点では不確定要素の大きい来季の大谷。MLBシーンはここからがクライマックスとなるが、大谷の来季への挑戦はもう始まっている。来季の開幕は現地3月26日(同27日)となっており、もう半年を切っている。大谷は二刀流復活の状態で来年の開幕戦を迎えられるのだろうか。皆が楽しみに待っている。
高橋康光