ワールドシリーズの真の勝者はスコット・ボラス氏? コール、ストラスバーグ、レンドーンらFA目玉選手が揃って活躍
2019/10/30
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昨オフはハーパーが巨額契約を結ぶ
今年で115回目を数えるワールドシリーズはワシントン・ナショナルズとヒューストン・アストロズがともに敵地で連勝し、アストロズの3勝2敗で勝負の行方はヒューストンでの第6戦以降に持ち込まれた(10月28日現在)。どちらのチームがワールドチャンピオンの称号を得るにしても、勝利を手中に収めることになる人物が大物代理人として知られるスコット・ボラス氏だ。
何しろ、今ワールドシリーズで活躍する両チームのスター選手の殆どがボラス氏と代理人契約を結んでいる。アストロズのホセ・アルトゥーベ内野手、ナショナルズのマックス・シャーザー投手、同フアン・ソト外野手らがそうだ。さらにボラス氏が抱える選手の中で重要なのはアストロズのゲリット・コール投手、ナショナルズのアンソニー・レンドーン内野手、同スティーブン・ストラスバーグ投手の3人だろう。この3人はワールドシリーズ終了後、今オフのフリーエージェント市場でもっとも大型契約になる選手と予想されているのだ。
ボラス氏がこのオフにフリーエージェント市場で代理人として交渉を進めることになると思われる大物選手のリストはそれだけではない。ニコラス・カステヤノス内野手(シカゴ・カブス)、ダラス・カイケル投手(アトランタ・ブレーブス)、J.D. マルティネス指名打者または外野手(ボストン・レッドソックス)、マイク・ムスタカス内野手(ミルウォーキー・ブリュワーズ)、柳賢振投手(ロサンゼルス・ドジャーズ)など、枚挙にいとまがない。
彼らに共通しているのは年齢が30歳前後でキャリアの最盛期にあると思われることだ。最年少がカステヤノスで現在27歳、最年長が柳で32歳だ。今シーズンの成績も申し分なく、彼らだけで個人タイトルの多くを占める。コールは防御率2.50で最優秀防御率、326Kで奪三振王、ストラスバーグは18勝を挙げて最多勝、柳は防御率2.32で最優秀防御率、レンドーンは126打点で打点王だ。
当然のようにボラス氏は彼らに巨額の年俸と長期に渡る複数年契約を勝ち取ることを目指すだろう。ストラスバーグとマルティネスはともに複数年契約の途中であるが、今年でオプトアウト(契約破棄)をする合意条項が契約に含まれている。
ボラス氏が代理人ではない大物フリーエージェント選手にはフェリックス・ヘルナンデス投手(シアトル・マリナーズ)やコール・ハメルズ投手(シカゴ・カブス)らがいるが、ヘルナンデスは33歳、ハメルズは35歳の年齢からすると、彼らには長期の複数年契約は考えにくい。
ここ数年FA市場の停滞ぶりが問題になる中で、昨年オフにはブライス・ハーパー(フィラデルフィア・フィリーズ)に13年3億3000万ドルの超巨大契約を勝ち取ったボラス氏が、今年のオフではどのような動きを見せるのか注目される。
角谷剛