過去には日本からの組織票も問題に? MLBオールスターファン投票事件史
ロイヤルズファンによる大量投票が話題となっている今年のMLBオールスターファン投票だが、大量投票にまつわる事件はこれが初めてではない。2001年には日本からの大量投票も問題となった。
2015/06/25
Getty Images
以前7ポジションをロイヤルズ勢が占拠
ファン投票でのロイヤルズの勢いが止まらない。
先日発表された第5回中間発表では一塁手のエリック・ホズマーがミゲール・カブレラ(タイガース)と入れ替わりで1位から陥落したものの、依然一塁手と外野1枠を除く7ポジションをロイヤルズ勢が占拠している状況だ。
ロイヤルズの勢いが過去最高レベルであることは疑いようがないが、このような1球団のファンによる大量投票は過去に前例がないわけではない。スポーツブログサイト『SB Nation』はこれまでのファン投票に起きた数々の事件を紹介している。
Royals are certainly not the first, but they may be the best
間違いなくロイヤルズが初めのチームではない、しかし彼らが多分最高だろう。
ロイヤルズと同じように単一球団がファン投票を占拠したケースとして最も有名なのが1957年のシンシナティ・レッズ。この年のファン投票は8ポジションの内、スタン・ミュージアル(カージナルス)の一塁を除く7ポジションをレッズが独占、ファン投票で7人が選ばれたのは現在でもこの年のレッズだけだ。
しかしナショナルリーグ当局の調査で、この年の投票の半数が、シンシナティからのものであることが発覚。地元紙『シンシナティタイムズスター』による不正投票に加え、地元のバーでは、飲み物を出す前に客にレッズの選手を記名した投票用紙を提出させるなど町ぐるみでの組織投票が行われていたことが明らかになった。こうした行為に対して当時のコミッショナーであるフォード・フリックは
“I strongly object to our league making a burlesque out of the All-Star Game. I never want to see such an exhibition again.”
我々のリーグがオールスターゲームを茶化すような真似をしたことに強く不服を唱える。私は2度とこうしたふざげた行為を見たくはない。
と宣言。結果的に2人の先発出場権を剥奪(ファン投票での当選を無効扱い)し、ポスト右翼手、ベル中堅手を外してウィリー・メイズとハンク・アーロン、2人の殿堂入り選手をスタメンに加えたほか、1970年までファン投票自体を取りやめさせている。
1979年には、フィラデルフィアやボストン、ニューヨークなど一部の球場での過剰なファン投票ボックスの設置が問題となった。この年4つのファン投票ボックスを設置したミルウォーキーのカウンティ・スタジアムに対して、フィリーズが本拠地ベテラン・スタジアムに設置したボックスはなんと56個、ファン投票に対する球団の力の入れようはスタメン9人中4人がフィリーズの選手という形で結果にも表れている。
近年では2012年、ベイエリアからの組織票によって当選したジャイアンツの選手がその年の前半センセーショナルな活躍を見せていたカルロス・ルイーズ捕手やデビッド・ライト三塁手らを差し置いて先発出場、また先発投手に捕手を務めるバスター・ポージーとの相性という点からナックルボーラーのR.A.ディッキー投手ではなくジャイアンツのマット・ケイン投手が選ばれたことで夢の球宴という言葉の意義が問われた。