MLBがマリファナ検査撤廃との報道。オピオイドは罰則ではなく治療の方向へ
2019/12/11
Getty Images
MLB全階層でマリファナ容認へ
MLBと選手会がかねてから交渉中だった禁止薬物に関する新たな取り決めが合意に近づいたと報じられた。スポーツ専門ウェブサイト『The Athletic』のケン・ローゼンタール記者によると、両者はマリファナを傘下マイナーリーグも含めて検査対象から外すことに合意する見通しだ。
現在のところ、MLBはメジャー40人枠の選手に対してはマリファナの検査は以前に違反して治療プログラムを受けている選手にしか行われていない。過去にマリファナ摂取で罰則を受けたメジャー選手もいない。
一方でマイナーリーグではマリファナの摂取が禁止されており、選手の違反が発覚した場合、1回目の違反で25日の出場停止、2回目の違反で50日の出場停止、3回目で100日の出場停止、4回目で永久追放となる。出場停止期間中は給料の支払いもなくなるので、ただでさえ薄給にあえぐマイナーリーガーたちにとっては死活問題となってきた。今回の合意が正式にルールとして発効すれば、MLB全階層においてマリファナが事実上容認されるということになる。
米国のマリファナに関する法律は過渡期にある。2019年12月現在、カリフォルニア州を始めとした11の州で完全合法化されてはいるが、連邦レベルでは未だに違法であるし、違法ではなくても医療目的に限られているところが多い。全面的に違法としている州もまだある。言うまでもないことではあるが、国や州の法律はMLBのルールに優先するので、野球選手たちが無制限にマリファナを摂取できるようになるというわけではない。
例えば、カリフォルニア州に本拠地を置くロサンゼルス・エンゼルスの選手がホームでのシリーズ期間中にマリファナを摂取することにはまったく問題はない。だが、ニューヨーク・ヤンキースとの遠征シリーズにマリファナを持参すると、同州ではマリファナは医療目的でしか認められていないので、法律上の問題が生じてくる。さらにマリファナを全面的に禁止しているウィスコンシン州のミルウォーキー・ブリュワーズとの遠征シリーズでマリファナ所持が発覚すれば、逮捕・拘束という事態にもなりかねない。
スポーツ界には実際にそうした例がある。ボクシングWBC世界ヘビー級チャンピオンのデオンテイ・ワイルダーは2017年アラバマ州においてマリファナ所持容疑で逮捕され、翌年には有罪判決を受けている。アラバマ州は現在でもマリファナを全面的に違法だとしている州の1つだ。