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険しい崖を這い上がりつかんだメジャーのマウンド 村田透の今後は【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、先日メジャーデビューを果たした元巨人ドラフト1位村田透についてだ。

2015/06/30

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阿佐智



ほろ苦メジャーデビューも今後に期待

 元巨人のドラフト1位、クリーブランド・インディアンスの村田透は、現地時間28日にボルチモア・オリオールズとのダブルヘッダーの2戦目に急きょ先発が決まり、メジャーデビューを果たしたものの、残念ながらその成績は芳しいものではなかった。

広尾様0630表1

 緩急を使い、低めを丁寧につく投球を見せたが、2回2死にインディアンスの二塁手キプニスがなんでもないセカンドゴロを後ろに逸らした。ここからオリオールズ打線に火がついて2失点。3回は三者凡退に抑えてマチャードからMLB初三振も奪うも、4回に先頭の元本塁打王クリス・デービスに甘く入った速球を右翼席に叩きこまれる。1死後、カーブをスナイダーに右翼席前列に運ばれ、次のハーディを歩かせたところで降板。後続の投手が打たれて村田は5失点、自責点3という結果に終わった。

 しかし、村田は険しい道をたどってここまでやってきた。本人も「感慨深い」と言っていたが、わずかな可能性を信じて努力した結果なのだ。

 村田は大阪体育大浪商高、大阪体育大を経て2008年、巨人に大学社会人ドラフト1位で入団した。大阪体育大からドラ1で巨人に入団したのは上原浩治に続いて2人目。村田は大学ドラフト指名の同期34人の中でもエリートだった。しかし、大学時代に痛めた右足首の状態が思わしくなく、成績は上がらなかった。

 巨人二軍での成績をまとめた。

広尾様0630表2

 3年間で2勝10敗、四球が多く、打ち込まれることも多かった。2010年オフに戦力外となり、12球団トライアウトで再起を目指すが、そこに居合わせたクリーブランド・インディアンスのスカウトの目に留まり、マイナー契約で入団した。

 マイナーでの成績だ。

広尾様0630表3

 ルーキーやA-、Aではなく、その上のA+(Aアドバンス)でデビューしたのはそれなりに実力があると評価されたのだろう。2年目にはAA、AAAと順調に昇進するが、ここから足踏みする。2013年、2014年とAA、AAAを往復する日々だった。トップクラスの有望選手は、AAからAAAを経ずにMLBに駆け上がることも多い。

 AAクラスで実績を上げるとMLBでも通用するとみなされるのだ。AAAになると、故障や不振でマイナー落ちしたMLB選手がラインナップに名前を連ねるため、さらにMLBに近いレベルになる。村田はAA、AAAの厚い壁に阻まれていたのだ。2012年からはオフにベネズエラのウィンターリーグでもプレーし、何としてもチャンスをつかもうとしてきた。

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