険しい崖を這い上がりつかんだメジャーのマウンド 村田透の今後は【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、先日メジャーデビューを果たした元巨人ドラフト1位村田透についてだ。
2015/06/30
阿佐智
着実に歩んできたメジャーまでの道のり
その甲斐あって、2013、2014年にはMLBのスプリングキャンプに呼ばれた。
2年ともわずか1試合に登板。招待選手ではなくあくまで「テスト」だった。結果も良くはなかったが、ようやく首脳陣の目に留まるレベルにまで這い上がった。
今回のMLB昇格は、努力のたまものだ。
マイナーリーグでプレーした日本人選手は265人にも上る。この内訳を見てみよう。
このうち149人は90年代まで実施された「野球留学」。MLBに昇格したのは有名な村上雅則(マーシー村上)のみだ。
メジャー契約の選手の大部分は、MLBに昇格している。昇格できなかったのは水尾嘉孝(横浜、オリックス、西武)、中島裕之(西武、現オリックス)の2人だけである。
マイナー契約の選手は84人いる。
NPBで規定投球回数、規定打席に達するなど実績のある選手は、大部分がAAAなどで少しテストをして、すぐにMLBに昇格した。野茂英雄、桑田真澄、藤川球児、斎藤隆、高橋尚成などがそれにあたる。
NPBでの実績がない、あるいは乏しいままアメリカに渡り、マイナー下部から挑戦した選手は71人いるが、MLBまで上がった選手は5人と極めて少ない。
村田は、大家友和(横浜、のち横浜復帰)、マイケル中村(NPBを経ず、のち日本ハム、巨人、西武)、マック鈴木(NPBを経ず、のちオリックス)、多田野数人(NPBを経ず、のち日本ハム)に続いて5人目のメジャー昇格となった。
村田は、すでにMLBのロースター(登録)を外れている。MLBの試合には出ることができないが、40人枠にはその名前がある。MLB予備軍には名前をとどめたのだ。村田は再びマイナーのマウンドに上がりながら、チャンスをうかがうことになる。新たな日本人メジャーリーガー村田に今後も注目したい。
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