NPB1軍未登板の男がMLBデビュー インディアンス・村田透が球界に与えたインパクト
インディアンス・村田透がメジャーデビューを果たした。ジャイアンツ時代は1軍未登板だった男が、アメリカのトライアウトから遂に夢の舞台へ辿りついた。
2015/07/01
阿佐智
トライアウトからついにメジャーへ
野茂英雄がメジャーデビューした95年から、21年間続いてきた日本人大リーガーデビューの歴史は、インディアンス・村田透がつむいだ。28日の敵地でのオリオールズ戦のダブルヘッダー第2戦に先発。3回1/3を4安打5失点で敗戦投手となったが、夢のマウンドにたどり着いた感慨に浸った。
「正直、初球を投げる前には感極まったものがありました」
登板直前の心境を、日本メディアにこう語っている。前日の試合が雨天中止となり急きょ組まれたダブルヘッダー。特例としてベンチ入り枠が26人へと1人拡大されることもあり、傘下3Aコロンバスの村田に白羽の矢が立った。
米5年目でようやくつかんだメジャー切符だった。大体大から大学・社会人ドラフト1巡目で入団した巨人では、1軍登板がないまま10年オフに戦力外通告を受けた。トライアウトを経てインディアンス・スカウトの目に止まり、裸一貫1Aからの挑戦。30歳という節目で、千載一遇のチャンスが巡ってきた。
初回を3者凡退に仕留め、2回も簡単に2死を奪った。だが、好事魔多し。続くトラビス・スナイダーのゴロを、二塁手ジェーソン・キプニスがトンネル。味方のまずい守備に足を引っ張られ、そこから連打を浴びて自責点0のまま2点を失った。
3回は再び3者凡退で立ち直ったかに見えたが、4回先頭のクリス・デービス、1死後のスナイダーとソロ本塁打を2発被弾。勝負あったと、ここでテリー・フランコナ監督からタオルが投げ込まれた。
その指揮官自ら「最初の2失点は完全にエラーによるもの。ついてなかった」とねぎらわれた。結果的に白星でデビュー戦を飾ることはならなかったが、それでも村田のデビューが球界に与えたインパクトは絶大だ。