〝独り立ち〟の時――ヤンキース・田中将大、試練を乗り越えられるか
ヤンキースの田中将大が3日(日本時間4日)の本拠地レイズ戦に先発し、6回6安打3失点。3試合ぶりのクオリティースタート(6回以上、自責3失点以下)で完全復活への手ごたえをつかんだ。
2015/07/06
Getty Images
手ごたえを感じたレイズ戦
ヤンキースの田中将大が3日(日本時間4日)の本拠地レイズ戦に先発し、6回6安打3失点。自身の勝敗はつかず4戦連続で白星なしとなってしまったものの、3試合ぶりのクオリティースタート(6回以上、自責3失点以下)で完全復活への手ごたえをつかんだ。
前回登板まで2戦連続でメジャー自己ワーストの1試合3被弾を浴びるなど、ここ最近は誰が見ても明らかなスランプにはまっていた。本人が何度となく口にしていた「メカニックの部分でのズレ」を解消すべく、前々回の登板間から通常は1度のブルペン入りを2度に増やしてラリー・ロスチャイルド投手コーチとともに〝突貫工事〟に取り組んだ。
その成果はこのレイズ戦登板において決して100パーセントとは言えないまでも、少なくとも〝引き出し〟を開けることはできたようだ。
試合後の田中は大勢の日本人メディアの前で「登板間で取り組んできたことは試合の中である程度やれていたと思うので、まあ進歩はあったと思います」とコメントしている。そして「次につながるか」という問いに対しては「数字だけとらえられれば〝今回もたいした実力が出ていなかったじゃないか〟っていうふうに言われるとは思うんですけど…。自分の中では手ごたえを感じていますし、この2戦の内容とは自分の中では大きく違うというふうに思っています」と言葉に力を込めた。
確かに復調の兆しが見えたのは好材料。
ただ田中にとって、ここまでのスランプはメジャー移籍後初めての経験と言っていいだろう。その大きな原因となった「ズレ」に関しては本人が多くを語らない以上、残念ながら明確な答えはわからない。しかしその「ズレ」を解消する上で今回、田中が痛切に感じたと思われることがある。昨季とは違う大きな環境の変化――。黒田博樹の不在である。