MLBオールスターでもレジェンドと肩を並べるイチロー 今年の日本人選手の選出は?【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、MLBオールスターにおける日本人選手の選出についてだ。
2015/07/08
Getty Images
MLBオールスターでも光るイチローの実績
MLBのオールスター戦のファン投票が締め切られた。最高得票はブルージェイズ、ジョシュド・ナルドソンの1409万0188票、青木宣親は、ナリーグ外野手部門で4位で残念ながらファン投票での選出はならなかった。
MLBでは投手はファン投票では選出しない。選手など関係者の投票と、監督推薦で選ばれる。追加の野手も同様に選ばれる。
両リーグ各32人が選出された後で、最後の1人「33番目の男」を選ぶためのファン投票を再度行い、両リーグ併せて66人が選ばれる。
MLBの登録選手は、1球団25人、全部で750人だから、66人は倍率10倍以上の「狭き門」だ。
そしてMLBのオールスターは1試合しか行わない。野手のスタメンは原則としてファン投票で選出された選手になるため、実力だけでなく人気も兼ね備えていなければ、オールスターのスタメン出場はできない。
オールスター、野手のスタメン出場ランキングを見ていく。
ウィリー・メイズ、ハンク・アーロンと球史に残る大選手が1、2位。実は1959年から62年までの4年間、MLBでもオールスター戦は2試合行われていた時期があった。メイズ、アーロンともにこの時期に働き盛りで選出されていたので、スタメン出場数が多い。
カル・リプケンJrはイチローとも対戦した最近の選手だ。連続試合出場記録を更新した“鉄人”だが、オールスター戦も現役21年で19回(スタメンでは17回)選出されている。
安打製造機のロッド・カルー、“ザ・マン(男の中の男)”スタン・ミュージアル、“史上最高のスイッチヒッター”ミッキー・マントル、まさにスター中のスターの名前が並ぶが、イチローも19位タイの9試合で名前を連ねている。もはやMLBの伝説的な選手と肩を並べる存在になっているのだ。
イチローはオールスター戦でも3割をマーク、2007年にはオールスター史上唯一のランニングホームランを打ってMVPを獲得している。
投手の場合、ファン投票ではなく監督推薦のため、人気、実力をそのまま反映しているとは限らない。
オールスター投手の先発出場試合数ランキングだ。
1位タイは3人いる。ドン・ドライスデールは50年代から60年代にかけてのドジャースのエース。巨人との交流が深く、ONと一緒に写った写真が残っている。レフティ・ゴーメッツは1933年の第1回オールスター戦から3年連続でアリーグの先発投手を務めたベーブ・ルースと同時代のヤンキースのエース。ロビン・ロバーツは4年連続最多勝に輝いたフィリーズの大エースだった。
以下、錚々たる顔ぶれが並ぶが、投球内容はそれほど良くない投手もいる。投手にとってオールスターは野手以上に出場機会が限られている。まずは「出場すること」が目標になる。