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【小島克典の「通訳はみだし日記」】ロイヤルズ青木が手にする驚愕のプレーオフ・ボーナス

ベースボールチャンネルは、毎週火曜日に、横浜ベイスターズ、サンフランシスコ・ジャイアンツ、ニューヨーク・メッツの3球団で通訳として活躍した小島克典氏による書き下ろし連載「通訳はみ出し日記」をスタートしました。日米両球界で培った小島氏の経験をベースに、現地メディアの報道や知られざる業界の慣習を、独自の視点で軽やかに紹介していきます。連載2回目は「驚きのMLBプレーオフ・ボーナス分配法」についてです。

2014/10/07

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球団主導でシェアする日本、選手主導でシェアするアメリカ

 チームを率いる監督やコーチといえど、選手の合意なしにはフルシェア(満額)がもらえる保証はない。さすがは民主主義の国で生まれたスポーツだ。
 
 日本でも、プレーオフを主催するNPBは日本シリーズ出場チームに分配金をシェアするが、その行方は球団主導で分け合うのが常だ。
 MLBの場合、誰にどれだけシェアするかを決めるのは実際にプレーする選手たち。そのギャップに軽く興奮した。
 
 ほどなく、近くに座っていたカーク・リーター(メジャー通算130勝の左腕)が目配せしながら退出を促してきた。
 
 意味がわからずたじろいでいると、彼は笑顔で僕の尻を蹴ってきた。
 あ、えっ、もしかして? と振り返ると、チームメイトの何人かが笑いながらサムアップしていた。
 
 ワイルドカードが各リーグ2枠に増えた現在、プレーオフ・ボーナスの原資は次のように集められる。
 
・ワイルドカードゲーム2試合の全チケット収入の60%
・地区シリーズ4カード(初戦から第3戦まで)の全チケット収入の60%
・リーグ優勝シリーズ(初戦から第4戦まで)の全チケット収入の60%
・ワールドシリーズ(初戦から第4戦まで)の全チケット収入60%
 
これらの総額を
・ワールドシリーズ優勝チーム(36%)
・ワールドシリーズ敗退チーム(24%)
・リーグ優勝シリーズ敗退チーム2球団(12%ずつ)
・地区シリーズ敗退チーム4球団(3.25%ずつ)
・ワイルドカードゲーム敗退チーム2球団(1.5%ずつ)
 
の10球団で分配するのが現在のルールだ。残念ながら早々と敗退したエンゼルス、タイガース、アスレチックス、パイレーツにも少額ながらボーナスは配分される。
 
 ワイルドカードから勝ち上がった2002年のジャイアンツは、ナショナル・リーグを制覇した。惜しくもワールドシリーズ第7戦で敗れてしまったが、クリスマスカードとともに送られてきた一枚の小切手(チェック)を見て、ビックリ仰天した。そこには受取人として、私の名前が書かれたビックチェックが入っていた。
 
 私を追い出したあのミーティングで、当時のチームメイトたちは、ビデオコーチを兼任していた通訳の私を「ハーフシェア」のメンバーに選んでくれたのだ。目玉が飛び出すほど驚いたとは、まさにこのことだ。
 
 勝てば勝つほど分配金が増すプレーオフ・ボーナスの仕組み。果たして青木はこのオフ、どれだけのビックボーナスを手にするのか。全てはロイヤルズの戦いにかかっている。
 
 
小島克典氏が携わるサイト、「ゆるすぽweb」が10月1日よりオープンしました。2020年の東京五輪に向けてゆるやかなスポーツ文化の醸成を目指していきます。

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