チームを助けた114球――因縁の故障から丸1年の田中将大、後半戦へ弾みのつく好投
ヤンキース・田中将大が9日のアスレチックス戦に先発し、1カ月ぶりとなる5勝目で前半戦最終登板を飾った。今季自己最長の7回2/3を投げて2失点(1自責点)、球数も、今季自己最多の114球にも及んだ。
2015/07/10
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2回以外はほぼパーフェクトに抑えた田中
ヤンキース・田中将大が9日のアスレチックス戦に先発し、1カ月ぶりとなる5勝目で前半戦最終登板を飾った。今季自己最長の7回2/3を投げ、2安打2失点(1自責点)、1四球、6三振と好投。球数は、今季自己最多の114球にも及んだ。
田中が唯一乱れたのは2回。先頭ジョシュ・レディックへの2ボールからの3球目。内角低めへ93マイル(約150km)の直球を投げ込みファウルとさせたが、この時捕手のブライアン・マキャンのミットがバットに触れ、打撃妨害でこの試合初めての走者を許した。
続くビリー・バトラーには外角高めのツーシームを捉えられ、左翼線への適時二塁打で同点。なお2死三塁で、マーク・カンハに右中間を破る適時二塁打を浴びて、一気に逆転された。
しかし、続く3回は3者凡退と早い立ち直り。ここから降板する8回2死まで、打者18人に対して、走者は振り逃げによる1人しか出さなかった。3者凡退だった初回も含めて、2回を除けばほぼパーフェクトにアスレチックス打線を封じ込めた。
8回2死走者なし。交代を告げられた田中はチームメイトから次々とお尻を叩かれ、好投をねぎらわれた。そして、本拠地ヤンキースタジアムの満場のスタンディングオベーションを浴び、帽子に手をやり控えめに感謝を表した。
6月9日のナショナルズ戦以来、実に丸1カ月ぶりの白星。ここ4戦白星なしは、メジャー移籍後自己最長だった。そして、田中にとってはもう一つの節目の日でもあった。
ちょうど丸1年前の昨年7月8日。敵地でのインディアンス戦で7回途中5失点で敗戦投手に。降板後の検査で、右肘のじん帯への部分損傷が発覚した。
あの悲劇の登板から1年。節目となる登板で、田中は右肘への不安を吹き飛ばすかのように、今季最多114球もの熱投を演じてみせたのだ。