チームを助けた114球――因縁の故障から丸1年の田中将大、後半戦へ弾みのつく好投
ヤンキース・田中将大が9日のアスレチックス戦に先発し、1カ月ぶりとなる5勝目で前半戦最終登板を飾った。今季自己最長の7回2/3を投げて2失点(1自責点)、球数も、今季自己最多の114球にも及んだ。
2015/07/10
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後半戦へ弾みのつく
肘への不安を考慮し、首脳陣は田中の調整、起用法には細心の注意を払ってきた。キャンプからイニング球と球数を制限し、異例のスロー調整。開幕してもここまで10試合、球数が100球を超えたことすら一度もなかった。
ジョー・ジラルディ監督は、田中の100球超えについて度々言及してきた。「状態次第では、100球を超えることもあるだろう。序盤をいい形でやり過ごせたり、球が走っていたり。全ては状態次第だ」と繰り返してきた。
田中はこれが前半戦最終登板。オールスターブレークを挟み、次回登板は早くても後半戦開幕となる17日のマリナーズ戦で、中7日と回復への時間も十分とれる。加えて5、7回はいずれも球数がわずか8球で3者凡退に仕留めるなど、楽な試合展開に持ち込んでいた。いくつかの条件が重なり100球というリミッターは解除され、一気に突き抜けた。
田中は試合後、米メディアの取材に通訳を介して「しばらく長いイニングを投げることができていなかったし。100球以上を投げることができたのは、自分にとってもいいことだと思う」とコメントしている。
チームにとっても、田中が8回2死まで投げ抜いたことは非常に大きかった。
前日にDLから復帰したばかりの守護神アンドルー・ミラー。そしてミラー不在の間、抑えの代役を果たしたデリン・ベタンセス。ヤンキースが誇る最強中継ぎコンビが、実はそろってこの日は登板することが不可能だった。
病み上がりのミラーは前日との連投を避けるため、ベタンセスは前日まで連投しており3連投を避けるため、この日は休養日扱い。ブルペンが手薄な状況下で、チームを救うエースの投球だった。
田中は同じく米メディアに「投げている間はそんなことは考えなかったけれど。でも結果として彼らを温存し休ませられたのは良かった」と話している。
前半戦は11試合で5勝3敗、防御率3.63という成績で終えた。「DLにも入ったし、悪い登板もいくつかあった。でも最後はいい形で終えることができた。後半戦はよりよい形で投げていきたい」と後半戦への抱負を語った田中。
因縁の故障から丸1年を経て、完全復活へ大きな一歩を踏み出す114球となった。