メジャー4年目、最も遅いシーズン初勝利も、トレードに向けて価値を高めた岩隈久志
マリナーズの岩隈久志が、前半戦最終登板でメジャー4年目で最も遅い今シーズン初白星を手にした。
2015/07/14
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岩隈にトレードの可能性
そこで岩隈の周囲に浮上してきたのがトレード話だ。『CBSスポーツ』は10日に、ドジャース、ブルージェイズ、ナショナルズの3球団のスカウトが、DL復帰戦となったタイガース戦を視察していた、と伝えた。
日本プロ野球では、まだネガティブなイメージが濃いトレードだが、大リーグでは全く逆でポジティブな話題だ。ウエーバーを経ないトレード期限が7月31日に迫ることにより、ポストシーズン進出が絶望的な状況になった各球団は、契約期間が残り1年の選手を他球団に放出することが多い。交換要員として将来有望な若手を獲得し、来季以降に目を向けるためだ。
逆に、優勝争いの渦中にあるチームは、有望若手選手を放出してでも、即戦力が欲しい。両者の利益が合致して、初めて移籍交渉が成立する。
岩隈の周囲にトレード話が浮上するのも、上位球団に即戦力の先発ローテーション投手と高く評価されているからに他ならない。そしてその評価は、このエンゼルス戦での初勝利によって、さらに高まったのも間違いない。
年俸が700万ドルと実力に比べて格安で、シーズンも残り2カ月前後なことから実際の負担金はその1/3程度で済む。引く手あまたの状況で、マリナーズ側から見れば完全に売り手市場。交換要員は、強気な要求が可能だろう。
移籍話が現実的に進展するかは未知数だが、とにかく岩隈はかつてのピッチングを取り戻した。袖を通すユニホームが変わろうと、変わらなかろうと、かつての精密で力強い投球を取り戻し、メジャーシーンに楽しみなタレントが帰ってきた。