イップスで2018年に「引退」 元「レッドソックスのドラ1」が7年越しのMLB昇格へ!
2020/07/18
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アイデンティティを捨て苦難を乗り越え、再び大舞台へ
選手としての「どん底」に落ちた右腕は、どのようにMLBの舞台に戻ることができたのだろうか。『MLB.com』が伝えるところによるとバードは、「現役投手としてのアイデンティティを一度、捨て切った」ことで病を克服したという。
引退後、アリゾナ・ダイヤモンドバックスの職員となったバード。このとき初めて、「無失点に抑えること」以外のことで、自身の価値を発揮する体験ができたという。過酷なMLBの舞台で、大きすぎるプレッシャーが右腕の精神を少しずつ蝕んでいたことを実感した時期だった。バードは選手やスタッフとの交流を通じ、今までになく自身のメンタルと向き合う時間を過ごした。
そして2019年、バードは自らの中で、以前とは明らかに違う感覚を掴んだことに気づいた。「もうプロとしてマウンドに立つことはないと思っていた。でも、心のどこかで、プロのユニフォームに身を包んでマウンドに上がり、素晴らしい打者たちと戦うことを望んでいた自分もいたんだ。」そんな思いを体現するように、2020年にはロッキーズとマイナー契約。結果を残し、メジャーキャンプへの招待を手にした。
「バードの姿に勇気づけられているし、前向きな気持ちにさせられる」と語るのはバッド・ブラック監督。「イップスに打ち勝ってメジャーに復帰した」という事実が、何よりも世界のアスリートに勇気を与えるものだ。再び大舞台で輝きを放つその日まで、バードの挑戦はまだまだ続く。