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マイク・トラウト「ベースボールは1人で戦うものではない」指揮官に諭された野球の原点

MLBオールスターで史上初の2年連続球宴MVPを獲得するなど、すでに球界の顔になりつつあるマーク・トラウトだが、その裏にはマイク・ソーシア監督のある言葉があった。

2015/07/19

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指揮官の言葉で野球の原点を思い出す

 一体何があったのか。2013年のスプリング・トレーニング(春季キャンプ)。この場で前年新人王のトラウトは注目を一身に浴びていた。メディアから常に追い掛け回され、一挙一動にファンは大声援。それでストレスが溜まっていたからなのか、あるいは周りからチヤホヤされて高慢になってしまっていたからなのか。トラウトは首脳陣やチームメイトに対してろくに挨拶もせず、ツンとした態度を見せるようになっていた。オープン戦が始まって3月に入った頃、これを見かねたマイク・ソーシア監督からこう言われた。

「マーク、キミは確かに素晴らしい選手だ。しかし今の態度をあらためない限り、私はキミを起用することはできない。このままではチームメイトの誰かとトラブルを起こすぞ。ベースボールは1人で戦うものではない。ベンチにいる全員、いや球団に所属するすべてのメンバーで戦うものなのだ。個人だけでは絶対に勝てない。そのことを忘れるな」

 フォア・ザ・チーム――。野球の原点でもあり、それ以外のあらゆる分野においても共通する言葉だ。それが大事なこととはわかっていても、どうしても人は「成功」や「名声」を手にしてしまうと自己中心的な性格に陥りやすくなってしまうことが多い。この頃のトラウトも、その1人だった。

「ボクも、その“罠”にハマってしまっていた。自分が愚かであったことにようやく気付いたんだよ」

 以降の活躍はご存知の通りである。そしてチームメイトの誰もが「グッドガイ」と評する人柄でもあり、メディアへの対応も評判が良く、またファンサービスをできる限り欠かさないようにしている姿勢も、やはりこの当時の指揮官の言葉が胸に響いたからこそ形勢されたものなのであろう。

 同ドキュメンタリーの最後にトラウトはソーシア監督について「感謝の言葉しかない」と言い切っていた。スーパースターの飛躍の裏に名将あり――。それを思い起こさせるような秘話であった。

 心技体すべての面で充実しきっているトラウトの後半戦の活躍も期待大だ。

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