「真のエースになる過程が楽しみ」田中将大のために”暫定中5日制”を敷いた、指揮官の親心
ヤンキース・田中将大投手の次回登板日が29日(日本時間30日)の敵地レンジャーズ戦に決まった。現在、チームは〝暫定中5日登板〟を実施中だが、指揮官は何より田中への期待感を口にする。
2015/07/28
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真のエースへの脱皮を
しかし「全員をいいコンディションで保ちたい」と言いながらも、ジラルディ監督が今の先発メンバーの中で最も気にしているのはやはり田中の状態だろう。
昨季、田中が右ヒジじん帯断裂で長期離脱を強いられた悪夢の再発だけは何としてでも避けなければならない。そのためには田中に1日でも長い休養日を与え、グッドコンディションをキープさせ、来るべきポストシーズンまで快投を続けてもらう必要性がある。そういう流れから考えれば、この〝暫定中5日登板〟がおのずと田中のためのシフトであることに気付かされる。
そして何より今季の田中は開幕戦、後半開幕戦と春夏連続でオープナー(開幕投手)を任された「エース」の立場となっているのだ。その田中に大きな期待をかけていることを証明するように、ジラルディ監督は会見で何度となく「エースが先発陣を引っ張る形が理想」と口にしている。
しかしながら今季の田中は他の先発陣を常に鼓舞させるような安定した投球を継続させるには残念ながら至っていない。ここまで7勝4敗、防御率3.64。成績自体はまずまずだが、5月末から6月上旬にかけて右手首の炎症と上腕部の張りでDL(故障者リスト)入りして約40日間の戦線離脱を強いられ、復帰後も6月9日(同10日)のナショナルズ戦で4勝目を挙げたのを最後に1カ月間、白星なしの苦境も味わった。
スランプを抜け出してからはここまで4戦連続となるクオリティ・スタート(6回以上、自責3失点以内)をマークし続けており、登板3連勝も継続中。だが直近の登板2試合においては17日(同18日)のマリナーズ戦で2被弾、23日(同24日)のオリオールズ戦でも3被弾と計5本の本塁打を浴びるなど「一発病」が顔をのぞかせている。
ここまで今季13試合の登板で15本もの本塁打を浴び、9回1イニング平均で1.65の被本塁打はサバシアの1.70に次いでチーム内で下から2番目に悪い数字となってしまっている。
こういう田中に「真のエースへの脱皮」を求めているのが、実はジラルディ監督なのだ。実際に指揮官は米スポーツ専門局『ESPN』で25日(同26日)に放送された「ベースボール・トゥナイト」の番組内インタビューで、田中についてこう語っている。
「今季の田中は悪い自分と向き合うことが多くなっている。でも、それは長い目で見れば悪いことではない。大きな試練を乗り越えた時、彼はもっと強くなるはず。私は楽しみなのだ。ヤンキースのリアル・エースになっていくであろう彼の成長過程がね」
ジラルディ監督の親心に応えるような〝これぞエース〟の快投を田中は見せることができるか。注目したい。