成績から見た、イチローの偉大さ 21世紀最高の選手の一人、歴史を塗り替える存在に【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、「同時代」の選手の中でイチローはどんな存在なのかに絞ってデータを紹介したい。
2015/07/28
Getty Images
NPBに残る惜しい記録
イチローは、走攻守そろった21世紀最高のMLB選手の一人だということができよう。しかし、NPBでは、もうちょっとのところでやり残した記録がいくつかある。
これも紹介しておこう。
一つは通算打率だ。
NPBの公式サイトでは4000打数以上の打者の通算打率のランキングを発表している。80年の歴史の中で、最高打率はレロン・リーの.320、続いて若松勉、張本勲と続く。イチローは381打数足りないために、ランク外だが、NPB通算打率は.353という凄まじいものだ。NPBで381打数で3安打以上すれば歴代最高打率に立つことになる。
もう一つは盗塁成功率だ。
NPBで200盗塁以上した選手の盗塁成功率のランキング。
1位は昭和中期、南海の名リードオフマンだった広瀬淑功、2位は先ほどのオールスターにも出た巨人の走り屋、鈴木尚広だが、イチローはあと1つ盗塁を記録すれば、この記録でもNPB歴代1位になる。
イチロー自身は「僕は記録のためにプレーしているのではない」というだろうが、こういう「惜しい」記録を見つけるたびに、日本でプレーする可能性はないのか、と思ってしまう。
イチローの選手生活はそろそろ晩年を迎えている。しかし現役であり続けるかぎり、イチローは記録マニアには目が離せない存在なのだ。