【MLB】指揮官は「日本でも実績、勝負所で期待」 田中将大が背負う常勝ヤンキース、エースの宿命
ヤンキース・田中将大は29日(日本時間30日)、初登板となったアーリントンのグローブライフ・パークでのレンジャーズ戦で、先発して6回を9安打4失点。38日ぶりの黒星となった。
2015/07/31
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スプリットの制球が甘かった
ヤンキース・田中将大が灼熱の荒野に沈んだ。29日(日本時間30日)、初登板となったアーリントンのグローブライフ・パークでのレンジャーズ戦で、先発して6回を9安打4失点。6月21日のタイガース戦以来、38日ぶりの黒星となる4敗目を喫した。
試合開始時の気温が華氏99度、摂氏にして37.2度。かつてない灼熱のマウンドに上がった田中に、強打のレンジャーズ打線が襲いかかった。
田中自身、立ち上がりから生命線のコントロールを乱していた。初回先頭のデリノ・デシールズを四球で歩かせた。田中が初回先頭打者に四球を与えるのは、メジャー通算3度目のこと。そのデシールズを巧みなけん制でアウトとし、この回こそ打者3人で抑えたが、続く2回に惨劇が待っていた。
先頭のエイドリアン・ベルトレに左前打を浴びると、この回4単打に四球が絡み3失点。表の攻撃で自軍が2点を先制してくれた直後だったが、あっさり逆転を許した。味方の得点直後の失点という、先発投手として犯してはいけないミスに、マウンドの表情も曇っていった。
「やはり3点をまとめて取られてしまったところが、今日は一番良くなかったですね。あの回はスプリットの変化が全部ぼやけて浮いてしまって、そこを打たれてしまいました」
自身の公式ホームページで、こう述懐した田中。ベルトレに打たれた左前打。そして秋信守に許した左前適時打は、ともに甘く入ったスプリットを捉えられた。1イニングで田中が4被安打したのは今季初。仮に立ち上がりが悪くても、試合の中で修正していく田中の武器が発揮されなかった。
「次の回以降は修正を図って、失点した回よりは良い形では投げられていたと思います。でも、3点を取られる前にしっかりと修正して投げられていれば良かったですね」
公式HPではそう続けている。実際、3回以降で失点した場面は5回無死一、三塁からジョシュ・ハミルトンの二ゴロ併殺の間に奪われた1点のみ。3者凡退、というイニングはこの試合一度もなかったわけだが、2回を除けば結果的に最少失点でしのいでいる。
ただ、投球の随所に問題点は感じ取れる。例えばその一つは三振の少なさだ。この試合、打者28人に対して、田中が奪った三振はわずか3つ。今季14試合目にして、最少の数字だ。
直球は5回2死からエルビス・アンドルスを迎えた場面で、初球から2球連続で94マイル(約151km)をマーク。ただ、それ以外の場面ではほとんどが91、92マイル(146~148km)前後がやっとだった。スプリットの落差も、本人の言葉を借りれば「ぼやけていた」。簡単に空振りが奪える状態ではなかった。