【MLB】トレード正式成立前の報道で、涙を浮かべてプレーしたフローレス 最終的には破談に
ツイッターなどのソーシャルメディアによって我々の生活は便利なものとなり、スポーツ報道も分単位で得られるようになった。その分、「誤報」や正確性に欠けるニュースも世の中に混在するようになってしまい報道の基準を下げ兼ねない存在にもなり得る。
2015/08/03
ツイッターが巻き起こした「誤報」
現地29日にツイッター上でニューヨーク・メッツとミルウォーキー・ブリュワーズの間でトレードが合意に至ったと報道された。ニューヨーク・メッツが若手のザック・ウィーラーとその日ショートでスタメン出場していたウィルマー・フローレスとの交換でカルロス・ゴメスを獲得したという内容だった。
しかしツイッターでこのニュースを報じた多くが、身体検査の結果待ちという詳細を明記していなかったため読者にトレードは成立したという誤解を招くものとなってしまった。
トレードの内容は実際には間違っておらず、両チーム間で交換する選手も決まっていたが、実際に身体検査の結果待ちだったのである。そして『FOX SPORTS』に伝えられた情報によると、メッツはカルロス・ゴメスの股関節の状態に不安を持ち、トレードを回避することとなった。この事実に関しては代理人のスコット・ボラスは否定しており、現に翌日には別のトレードでヒューストン・アストロス入りが確定している。
実際には成立していなかったトレードが報道されたことによって、まだ試合に出場していたフローレスは周囲にとっては異様な光景に写ってしまった。なぜならトレードが決まった場合、大抵は試合中でも怪我のリスクを回避するために選手を交代させるからだ。だがグラウンドにはトレードを確信し、涙を浮かべてプレーを続けたフローレスの映像が流されてしまい、その時メッツは非情な球団というイメージまでついてしまった。
だが非情なシーンを作り上げてしまったのは、正式に成立する前にトレードを報じたメディアであり、それが大混乱を生み出すこととなってしまった。
メッツのサンディ・アルダーソンGMもこの件に関して、メディアにコメントをした。
“There is no trade. Unfortunately, social media etc., got ahead of the facts and it may have had an adverse effect for one of the players rumored to be involved. It was an unfortunate situation; it’s something I’ve addressed personally with a player involved, and it’s one of the things that happens today with modern communications, etc.
「トレードはない。残念ながらソーシャルメディアが事実を先走ったことで噂になっていた選手のうちの一人に悪影響をもたらしてしまった。とても残念な状況だった。本当に(トレードに)含まれていたのであればこれまでは個人的に話をしていたのだが、現代のコミュニケーション(を入手出来る環境)では起こってしまっても仕方がないことだった」
トレードに両チームが合意したことはもちろんニュースだった。そしてトレードが破綻に終わったこともニュースとなった。それが現代の報道であり、ツイッターはメディアにとって分単位でニュースを報じる手段を与えている。しかし報道に関わる者、そして周囲が正確に情報を汲み取らなければ、今回のように「誤報」に巻き込まれる危険性もあることを肝に銘じておかなければならない。
「常に美しくはないかもしれない。綺麗ではないかもしれない。だが良くも悪くも、(一度世にニュースを出してしまえば)振り返る事は出来ないのである。」
ローゼンサール氏はこのように警鐘を鳴らしている。
出典: Plug pulled on Mets’ deal for Brewers’ Carlos Gomez; medical issue cited By Adam Rubin and Kieran Darcy in ESPN on July 29 2015
Mets-Brewers mess shows perils of Twitter- and it isn’t going away by Ken Rosenthal in Fox Sports on July 30, 2015