【MLB】単なる「一発病」にあらず 被弾の内訳から見える、田中将大の優れた投球術
ヤンキース・田中将大が4日のレッドソックス戦に先発し、6回0/3を5安打3失点で8勝目を挙げた。この試合でも本塁打を浴びて、昨シーズンを上回った。そんな田中に対して一発病を指摘する声があるが……。
2015/08/06
Getty Images
ソロ本塁打ならいくらでも対処できる
ヤンキース・田中将大が4日のレッドソックス戦に先発し、6回0/3を5安打3失点で8勝目を挙げた。クオリティースタート(先発して6回以上を、自責点3以内)を遂げたものの、7回は先頭のパブロ・サンドバルに特大右越え弾を浴びて降板。「ここ一番での制球のミスが悔やまれます」と自らも後味の悪さを口にした。
これで今季は15試合、93回2/3を投げて16被本塁打。20試合、136回1/3を投げて15被本塁打だった昨シーズンを、早くも上回ってしまった。
16被本塁打はマディソン・バムガーナー(ジャイアンツ)、マット・ハービー(メッツ)らと並び、両リーグ26番目タイの多さ。ただ6投手が並ぶが、田中より投球回が少ないのはショーン・オサリバン(フィリーズ)の71回だけ。後は大半が規定投球回に達し、田中よりもはるかに長いイニングを投げての結果だ。
米メディアでは時折、田中の一発病を指摘する記事も現れ始めた。確かに昨年を上回るペースで被弾し続けてはいる。ただ、その内訳をのぞいて見ると、単純に「一発病」とは言い切れない田中の投球術が透けてくる。
田中が今季被弾した16本塁打中、実に11本がソロ本塁打。残る5本は全て2ランで、3ラン以上は1本も許していない。
これを先に挙げたバムガーナー、ハービーというナリーグを代表する屈指の好投手と比べてみよう。
バムガーナーはソロ8本、2ラン6本、3ラン1本、満塁弾1本。ハービーはソロ11本、2ラン4本、3ラン1本となる。
単純に本塁打による失点を計算して並べると、田中の21失点に対して、バムガーナーは27失点、ハービーは22失点ということになる。
田中の被本塁打が続くことに対して、ジョー・ジラルディ監督は「何本も打たれるのを見たいわけではないがね。ソロだったらいくらでも対処できるんだよ。実際ソロ本塁打ばかりだろう?」と話している。決して楽観はしていないが、問題視もしていない。