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【MLB】ノーヒッター岩隈久志とバッテリーを組んだヘスース、「1球1球に緊張」

岩隈久志がキャリア初となるノーヒットノーランの偉業を達成した。日本人メジャー投手では野茂英雄氏につぐ2人目の快挙だ。今季も低迷するチームのファンにとっては誇らしい試合となったはずだ。快挙達成の裏では、サインを出すキャッチャーの緊張、全力でボールに飛びつくチームメイトのプレー、いろいろな仲間の思いがあった。

2015/08/13

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快挙達成の裏で、緊張を隠さなかった捕手スクーレ

 マクレンドン監督をはじめ、チームメイトも偉業達成を祝福した。フェリックス・ヘルナンデスは今季4月25日に先着2万人のファンへプレゼントとして配られた岩隈のニックネームの題した「Bear Hat(熊の被り物)」を被って歓喜の輪に加わった。

 マクレンドン監督は試合後の会見では上機嫌に、「終わってくれて良かった。5回ぐらいからトイレに行きたかったんだ」と冗談を飛ばした。投球内容についても球のキレが良く、特にスプリットの状態も良かったため試合途中から偉業達成の可能性もよぎっていたと語った。

 快挙達成の裏で緊張していたことを、隠さず語ったのはスタメンマスクを被ったへスース・スクーレだった。「7回以降、1球1球に出すサインに対して緊張していた」と話した。

 特に8回先頭のスコープを四球で出し、フラハティを三振で抑えるも、続くジョセフを1-3と打者カウントにしてしまった。その時スクーレはベンチに目を向けるが、マクレンドン監督は首を振り、大事な場面を捕手の判断に任せた。

“3-1, big league hitters, they don’t miss. In my mind I wanted to go fastball away, because I know that guy is kind of a pull hitter. He was throwing the ball good down there, outside. I called a pitch, but I’m not going to lie, I was kind of nervous.”
「1-3のカウントでは、メジャーの打者は打ち損じしない。自分の考えでは相手が引っ張る傾向のある打者だったため、外への直球でいきたかった。彼(岩隈)は低めのコースへ良い球を投げていたので、外でいった。その球を要求するサインを出したが、嘘は言わないよ、とても緊張していた」(スクーレ)

 結果的には、ショートゴロでダブルプレーを成立し、イニングを終えることができた。そして迎えた9回には岩隈本人も当たった瞬間落ちると思ったという打球を、カイル・シーガーが全力のプレーでアウトにした。シーガーも「ああいう場面では、止まってはいけない。どんなことをしてでも、取らなくてはいけなかった」と語った。

 この日は岩隈の家族もスタンドから見守っていた。チームメイトや監督、家族らの思いも受けて、自身初、日本人としては野茂英雄氏以来2人目の偉業達成となった。88試合目でのメジャー初完投は今季落胆することが多かった地元マリナーズファンにとっても誇らしい試合となったはずだ。

出典:Hisashi Iwakuma finally gives Mariners fans reason to celebrate By David Schoenfield in ESPN on August 12, 2015
Hisashi Iwakuma throws fifth no-hitter in Mariners history By Matt Pentz in The Seattle Times on August 12, 2015

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