【MLB】岩隈ノーノー達成で、今オフの契約が激変 今季4勝も2ケタ勝利と同じ価値に
12日のオリオールズ戦でノーヒットノーランを達成した岩隈久志。記録にも残るだけでなく、この快挙によって今オフの契約にも大きな影響を及ぼしそうだ。
2015/08/15
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荒れた分だけ、的を絞らせず
らしくない姿が、ノーヒットノーランを成し遂げた。マリナーズの岩隈久志が12日のオリオールズ戦で快挙を達成したカギは、本来の姿とは表裏一体の「らしくなさ」にあった。
実は制球はまとまりを欠いていた。本来なら精密機械とも称される右腕。そのバラつきが、大振りのオリオールズ打線とマッチした。
116球中ストライクは77球。ストライク率は66.38%にとどまった。大リーグ平均では68%前後とされ、好調時の岩隈なら70%台中盤を叩き出すことも。結果的に、相手打線に的を絞らせず、ボール球を面白いように振らせた。
絶好調時の投球と比べてみよう。
岩隈はメジャー通算88試合に先発し、2ケタ奪三振を記録した試合は4度だけ。その5試合の三振だけを合計すると45三振になる。
その45三振のうち、空振りでストライクを奪っているのは55球だけ。それ以外はファウルか見逃しでカウントを稼いできた。それが本来の岩隈のスタイルだ。
この日はボールが荒れた分、相手の空振りを誘った。7三振のうち、6つがボール球を振らせた空振り三振。いつもならゾーンギリギリに決まるコースが、ボール1個から2個分外れた。相手打者は岩隈のコントロールを熟知し、ストライクゾーンで勝負してくると思い、どんどん振ってくる。紙一重のズレが生んだその差が、1本の安打も許さない結果を生んだ。
日本時代も含め自身初めてのノーヒットノーラン。メジャーでは初完投、初完封でもあった。今の岩隈にとっては、5勝分以上に値すると言ってもいい大きな白星となった。
4月に右広背筋を痛めDL入りした今季は、試合前まで3勝2敗、防御率4.41という低空飛行。この低迷が、大きな痛手となると見られていたのが、今オフに待つ契約交渉だった。