もしもイチローが最初からMLBでプレーしていたら――通算安打数をシミュレーション【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は、イチローが高校卒業後すぐにMLBに挑戦した場合の安打数をシミュレーションしてみた。
2015/08/20
Getty Images
シミュレーションでも遠いピート・ローズの記録
翌1996年は開幕スタメン。そのオーダー。
アレックス・ロドリゲス20歳。22歳のイチローとの二枚看板ができる。
以後のMLB成績は実際のイチローのNPB、MLBの成績をもとに算定したい。
ここ5年間のイチローは、成績が急落している。この部分は除外し、2001年から2010年までのMLBでの実績とNPBでの実績を比較し、その差異を求め、NPBでのイチローの成績にあてはめる。
ただし試合数はMLBのほうが多いので安打数などは増加する。
こうして出た数字をリアルなMLBの打撃成績ランクに当てはめる。
1995年から2000年までのイチローの成績シミュレーションだ。
日米格差を勘案しても素晴らしい成績を残す。5年連続3割は同期のジーター、同僚のアレックス・ロドリゲス(ともに5年で4回3割)より上だが、タイトルには縁がない。めぐりあわせだが、この時期、アメリカンリーグにはノマー・ガルシアパーラというハイアベレージヒッターがいて、イチローは僅差で負けてしまう。
盗塁部門でも惜しい結果になっている。1999年、2000年の試合数が少ないのは、実際にNPBでイチローが欠場しているからだ。このあたりも反映させている。
さて、こうして算出した数字を2001年以降のイチローのリアルな成績に連結してみる。イチローはタイ・カッブやピート・ローズの記録を抜いているだろうか?
こういう結果になった。18日の時点で3916安打。まだ4000本まで84本。タイ・カッブまでは203本、ピート・ローズまでは340本、厳しいところだ。イチローのMLBデビューを1年早めればカッブには追いつくかもしれないが、ジーターよりも早くMLBに上がるとは考えにくい。
完全な仮定の話だったが、実際のイチローはどこまで記録を更新しつづけていくのか、楽しみでならない。