【MLB】「本来のクマが戻った」今季5勝目の岩隈、好調の要因 データが物語る制球力の復活
ノーヒットノーランの再現はさすがにならなかったが、岩隈久志はまたしても安定した投球を見せた。この好調さの要因は、本来の冴えを取り戻した制球力のようだ。
2015/08/20
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完全復活した制球力
また、記事ではこの日の岩隈の投球を、配球分布図を使って分析しており、速球は高めに、スライダーは低めに、スプリッターはさらに低く地面に接するほどであったことを示している。岩隈は、高低をしっかり使い分けていたのだ。
この日、岩隈は狙ったスポットにしっかり投げ込んでいただけでなく、球種の多様さも特筆ものだった。スライダーは27球投じたが、それと同じくらいの数のスプリッター、4シームファストボール、シンカーを投げている。全投球の2/3以上がストライクで、12回空振りさせ6つの三振を奪った。テキサスが一矢を報いたのはルーネッド・オドールの本塁打だったが、それとて失投ではなかった。
なお、最近の岩隈の好調さはセイバー指標でも証明されているようで、記事では以下の事例を紹介している。
トレード期限の7月31日以降の4度の先発で、クマはなんと平均8回を投げている。防御率/FIP/xFIP(訳者注 FIPは奪三振、与四球、被本塁打をベースに算出する疑似防御率。普通の防御率のランダム性をかなり排除している。xFIPはFIPをさらに発展させたもの)は、驚異的な1.71/2.79/2.82なのだ。これは明らかに.153という極端に低いこの間のBABIP(訳者注 本塁打を除くインプレー被打率、長いスパンでは.300前後に落ち着くと言われており、これが極端に低いのは単に偶然だと言われる)の恩恵を受けている。しかし、ここ数回の登板での彼の制球力は、シーズン序盤に比べ格段に優れていることも事実だ。低めにタマを集め、被弾を避けることができているのはこのためだ。9イニング平均の被本塁打はシーズン開幕後の8登板では2.01という悲惨なものだった(8月の4登板では0.57)が、今や本来のクマが戻って来たのだ。
出典:”Iwakuma does not throw a no-hitter, but M’s still win”@ Lookout Landing of SB nation by Andrew Rice in Aug. 18th 2015