来季がラストイヤー 専属アナ67年「ドジャースの声」を続けられた理由【豊浦彰太郎の Ball Game Biz】
ドジャース専属アナで87歳のビン・スカリーが、来季も続投することが発表された。彼自身の力量はもちろんだが、そこまでの長期政権の理由は他にもありそうだ。
2015/09/01
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試合中継中に、豊富な情報提供
先日、「ドジャースの声」ことビン・スカリーが67年目の来季も同球団のプレイ・バイ・プレイ・アナウンサーを務めることが発表された。これがラストイヤーになるという。
スカリーは87歳。2010年には1日限りとはいえ緊急入院もあり、近年は毎シーズンその去就が話題になっていた。
2週間前、地元紙『ロサンゼルス・タイムズ』には、「来季に関してはまだ決めかねている」という主旨の記事が掲載されていた。
彼自身は、健康問題に加え、自身が納得できるだけのレベルの仕事ができるか(流ちょうな語りや豊富な情報提供など)がアナウンサーとしての現役継続の判断に重要な要素と語っていた。
スカリーは、近年はアウェイのゲームへの帯同は西海岸中心に限定するなど、その年齢に配慮し仕事量を若干減らしていた。しかし、2014年春のシドニーでのダイヤモンドバックスとの開幕シリーズには南半球まで元気に同行した。
彼の放送の特長は、日本人にも聞き取りやすいクセのない語り口とともに、その博覧強記ぶりにある。実況を中継するだけでなく、出場している選手に関する重要な記録からトリビアに至るまで、次から次へと溢れ出てくるのだ。
現阪神の福留孝介がメジャーでプレイしていた当時、彼が打席に入ると、日本時代の数々のタイトル獲得の履歴だけでなく、「コースケはカゴシマの出身で、そこにはサクラジマという大きな火山があり……」とコメントしていたのをよく覚えている。
67年という長さは半端ではない。
あのジャッキー・ロビンソンの全盛期から基本的に同じポジションに在るのだ。読者は疑問に思われるかもしれない。その実力はもちろんだが、どうしてそんなに長く続けられるのか。