柳田、山田はいくつタイトルを取る? ハイレベルな2015年セ・パの打撃タイトル争い【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は「セパ打撃タイトル争い」だ。
2015/09/02
ベースボールチャンネル編集部
8月が終わって、セ・パ両リーグの打撃タイトルのせめぎあいが激しくなっている。両リーグの主要タイトルについてシミュレーションをしてみた。
表の「確」はタイトル確実、「優」は有望、「可」は可能性あり。それぞれ7月、8月の実績も載せた。今季のこれまでの数字をベースに、今後は故障など不測の事態が起きないことを前提にしている。
注目の首位打者争い、打点王・最多安打は確定?
まずはパリーグから見てみよう。
【首位打者】
今季の首位打者争いは非常にハイレベルだ。
秋山翔吾と柳田悠岐に絞られた。打者にとって疲労の影響も見えはじめる夏場、ともに8月は高打率をキープして終えた。秋山は打率、最多安打に向かって安定した成績をおさめている。一方の柳田は7月の月間打率は3割を切っていたが、8月に秋山以上の打率をあげて、盛り返してきた。両者の安定感の違いがタイトル争いにも影響を及ぼすか。いずれにせよ、このままいけば僅差で勝負が決まるだろう。
【本塁打】
中村剛也は9月1日にも1発を打ち2位と7本差。独走状態だ。しかし、特にソフトバンク勢を筆頭に長距離砲が揃っており、一気に量産する可能性もある。中村が9月もこれまでと同じ状態ならば優位だが、CS争いもあり、さらにマークは厳しくなるだろう。3位タイの柳田まで「可」とした。
【打点】
中村剛也と2位の中田翔は26点差、これはほぼ1カ月分の打点に匹敵する。仮に中村が休場しても届くかどうか難しい数字だ。打点王は中村が「確」といえるだろう。
【安打】
秋山翔吾が189安打で飛び抜けている。現在のペースは、阪神のマートンが打ち立てた214安打のNPB記録を抜く勢いだ。柳田の200安打は厳しいだろう。これも「確」だ。
【盗塁】
中島卓也が柳田に1差をつけて1位。しかし柳田のほうが優位と見た。中島は出塁率.368、柳田は.459。盗塁の前提となる出塁数に大きな差が出る。その上柳田には「トリプル・スリー」の期待がかかる。逆転する可能性があるとみた。
こうしてみると打撃タイトルはソフトバンク勢と西武勢の争い。盗塁争いは日本ハム勢が上位に3人。チームカラーが出ている。
次にセリーグだ。
【首位打者】
川端慎吾の好調が止まらない。三冠王、五冠王、トリプル・スリーの期待がかかる同僚の山田哲人との争いは、徐々に差が開きつつある。川端は7、8月どちらも.360を超えるハイアベレージだった。山田は巨人戦が.192と極端に悪い。巨人戦はあと5試合残っているが、これがポイントになろう。
少し不振だった筒香にも復活の兆し。筒香まで可能性があるとみた。
【本塁打】
山田哲人の「確」だろう。これも同僚畠山和洋が2位につけているが、畠山は6月に大当たりした後、ここ2カ月成績が急落している。
【打点】
現在、畠山が1位にいるがここ最近の打撃の状態は今一つ。山田は今季前半戦、ほぼ1番を任されており、打点を稼ぐには不利な打順にもかかわらず、ここまで積み上げた。得点圏打率では、山田が.337に対して畠山は.287。わずか2差という点からも、山田がタイトルを獲得する可能性があると見た。
【安打】
川端慎吾は好調を維持しており山田よりも有利だ。しかし山田哲人は、固め打ちをするタイプ。11差は決して安全圏内ではない。1試合3安打以上を連発して一気に追いつく可能性もある。
【盗塁】
山田哲人と梶谷隆幸は3差。接戦だ。ともに現在、大半の打順は3番。走れる状況をどれほど作れるのか。最後まで状況はわからない。