珍記録? カープ新井、レンジャーズのアンドラス 日米同日でホームスチールが成功
2日の広島対阪神戦、カープの新井貴浩が4回に同点となるホームスチールを決めた。また、海の向こう、アメリカでも同日にレンジャースのエルビス・アンドラスが単独でのホームスチールを成功させた。
2015/09/03
Getty Images
球史に残る、劇的なホームスチール
9月2日、甲子園球場で行われた広島対阪神戦で両チームのファンがあっと驚く事件が起きた。広島1点ビハインドで迎えた4回表、2死1、3塁の場面で阪神の先発・岩田稔の1塁牽制球が逸れると、3塁走者の新井貴浩がスタート。一塁のゴメスが急いで返球するも間一髪新井のタッチが早く、まさかの同点本盗になった。
このプレーで試合を振り出しに戻したカープは、続く5回に一気に4点をあげて勝ち越しに成功。5-1と快勝した。新井にとっては今季3個目の盗塁、本盗は2000年以来となる自身15年ぶり2回目。
また海の向こうアメリカでは、レンジャース対パドレスの試合、7回2死3塁の場面でレンジャースのエルビス・アンドラスが単独でのホームスチールに成功。日米で同じ日にホームスチールが成功した試合があるという珍しい1日となった。
なかなか目にかかれないプレーであるがゆえに、その成功は非常に印象深いものになる。特に衝撃的な過去の本盗を紹介する。
・お祭り男の本領発揮 球宴でのホームスチール
2004年7月11日に行われたオールスターゲーム、3回2死三塁の場面でパリーグの新庄剛志(当時日本ハム)が本盗に成功。オールスターでの単独ホームスチールは日本はおろかさらに長い歴史を誇るメジャーでも前例のないビックプレーとなった。この日の新庄は本盗に加え二塁打2本、パの全2得点をあげる活躍でMVPに選ばれた。
・終生のライバルから決めた伝説の本盗
1931年6月14日、早慶戦2回戦で早慶戦ひいては日本野球史上に残る劇的なプレーが生まれた。2対2の同点で迎えた7回2死満塁の場面、三塁ランナーの早大三原脩は相手投手、水原茂の隙をつきスタート。ヘッドスライディングでホームへ滑り込んだ。このプレーで勢いに乗った早大は6-3で快勝。その後プロ野球を通じて終生のライバルとなる三原と水原は生涯を通してこのプレーの判定を言い争ったという。
・プロ野球最多本盗は?
プロ野球最多の本盗記録を持つのはウォーリーの愛称で知られた元巨人の与那嶺要。のちに「日本の野球を変えた」と言われるほどの攻撃的な走塁に加え本盗のセンスも高く実働12年で11個の本盗を成功させた。1951年7月26日には1イニング3盗塁も記録している。与那嶺に次ぐ2位の10本盗を成功させたのは黒沢俊夫。戦前、戦中に活躍した俊足の外野手で通算80盗塁のうち10つが本盗、1944年には1試合2本盗も達成している。背番号4はジャイアンツの永久欠番。
・ノムさんの意外な記録
鈍足で知られる野村克也もプロ通算26年で7度の本盗を決めている。本人いわく「福本じゃ警戒されるから無理な記録」。ちなみに1065盗塁の福本豊は本盗の成功率は低く7回試みて成功は1度だけ。
・投手によるサヨナラ本盗も
長いプロ野球の歴史には投手によるホームスチールという非常に珍しいケースもある。1942年10月24日の阪神対南海戦で延長11回裏に当時の阪神の主戦投手である御園生崇男が決めたのが初。1949年にものちにプロ野球出身者初の国会議員として知られる白木義一郎が成功させている。