今年の新人王、パは該当者なし? セは高木勇か山崎康か【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は「新人王争い」についてだ。
2015/09/05
NPBの「最優秀新人」いわゆる新人王は、5年以上プロ野球を担当している記者が、選考資格を持つ選手のうち1名の名前を記入し投票して選出する。「該当なし」もあり得る。
有資格者は以下の通りとなる。
①海外のプロ野球経験のない選手
②支配下選手に初めて登録されてから5年以内
③前年までの出場が投手は30イニング以内、野手は60打席以内の選手
となる。
ルーキーではなくても、上記の条件に該当すれば、新人王の資格を持っている。そういうケースはよくある。
今年の新人王有資格者の成績を見ていこう。
あくまでも筆者の予想として◎は有力 ○有望 ▲可能性あり
とした。
新人王の有力候補だった西野も故障で離脱
まずはパリーグ打者編だ。安打数順に並んでいる。
規定打席に達した選手はいない。
オリックスの西野は1年目、6月には1番二塁で起用されるようになり、好成績を上げていたが、7月2日に骨折により戦線離脱。今季絶望ともいわれている。
日本ハムの岡大海は2年目、俊足で鳴らす外野手だ。一軍には定着しているが、まだレギュラーではない。陽岱鋼、西川遥輝ら名のある外野手に伍してレギュラー争いをしている。
ロッテの中村奨吾は、内野を中心にユーティリティ的な起用。チーム事情で外野を守ることもあった。しかし、打撃面でアピールは弱い。
ソフトバンクの上林誠知は、先日初本塁打が満塁弾と派手なデビューを飾るものの、数字は上がっていない。
パリーグの野手で新人王候補を上げるとすれば西野、岡の2人だろうが、打席数が少ない上に、西野は欠場中、岡もレギュラーではない。野手からの新人王選出は厳しいのではないか。
成績面で決定打に欠けるか?
次に投手を見ていこう。投球回数順に並べてみた。
規定投球回数に達している投手はいない。
争奪戦の末1位で昨年日本ハムに入団した有原航平は、7勝を挙げている。6月以降は先発ローテーションにも定着したが、防御率が5点台。
投票の時には勝ち星だけでなく、投球内容も考慮される。過去に5点台の防御率で新人王になった選手はいない。
台湾出身の西武、郭俊麟は、プロを経ていないということで有資格者と認められたが彼も防御率は5点台。2人とも残念ながら候補とは言えないだろう。
昨年終盤からセットアッパーとして起用され始めた日本ハムの白村は39試合に登板し、戦力になっている。防御率は良く、安定感はある。しかし9ホールドと成績の面からは物足りない印象だ。
こうなると、9月の月間MVPに選ばれた高橋光成に期待がかかる。高卒1年目というフレッシュさ、目覚ましい活躍ぶりが注目されている。9月も4勝以上上げれば可能性が出てくるだろう。
率直に言って、今季のパリーグの新人王争いは、決め手に欠ける。2000年以来の「該当者なし」の可能性もあるのではないか。