収穫だった大田泰示の復調。後半戦に向け、主力復帰でチームの変化に期待大【えのきどいちろうのファイターズチャンネル#153】
プロ野球の各球団は現在、オリンピック終了後に再開されるレギュラーシーズンの後半戦に向けて戦力の再整備・再編成が行われている。ファイターズも大田や中田の主力が復帰し、どのような戦いを繰り広げるのか楽しみだ。
2021/08/08
後半戦の巻き返しなるか
で、いちばんの収穫は大田泰示だ。真っ黒に日焼けしたタイシは函館初戦の朝、7時台の飛行機に乗って北海道にやって来た。エキシビションマッチは中田翔のチーム合流（と第4子誕生！）の記事でスタートし、いよいよ中心打者が帰ってくるんだなぁとファンに希望を与えた。中田は腰痛明けなので、様子を見ながら実戦に慣れていってる段階だ。じゃ、タイシは？ みんなそう思っていたのである。タイシのバットが火を噴かなきゃファイターズの得点力は上がらない。
僕の見たところ、上々の仕上がりだった。ファームでも函館シリーズでも結果を出している。これは後半戦、働いてくれそうだ。タイシの復調は光明である。現時点では明らかに中田翔より状態がいい。栗山監督がブレイク明けのクリンナップを任せてもおかしくないと思った。
ピッチャーも村田、秋吉と（今季1軍でご無沙汰の）実力派が見られた。個人的には石川直也のカムバックも待ち遠しいのだが、とにかくじゃんじゃん上で働いてもらいたい。
という夢を膨らませながら函館シリーズを見るのである。通常なら春先にしか許されないホンワカした期待感が鼻孔をくすぐる。何しろうちは最下位だからな、あとは上がっていくだけさ。
後半戦は一体どうなるだろう。高濱、淺間に代表されるニューパワーで何とか立て直し、どん底を脱しつつあったチームが、中田、大田らビッグネームの復帰でどう化学変化を起こすか？ 競争が起きるのか？ 場合によっては高濱、淺間がポジションを失うことも考えられる。そこはどうなんだろう。やっと芽が出てきたのに。
DeNA戦第3戦のヒーローは走者一掃の三塁打を放った郡拓也だった。実戦経験を積んで、郡もまたたくましくなった。じゃ、後半戦、郡は出られるかな。
オリンピックブレイク明けは、つまり野球選手のリスタートだ。つかんでいたものを取り戻すか手放すか。ファンはチームを応援する存在だが、その実際のところは複雑だ。みんながうまくいくことなんてあり得ない。ファンはそれをわかってる。
まぁ、だけど煎じ詰めると話は簡単なのだ。チームが勝てばいい。ぜんぜん勝ってなくて最下位なのだから、勝てばいい。ニューパワーは死ぬ気でビッグネームに挑めばいい。今季はチームがAクラスに浮上するのは難しいかもしれないが、選手個々は「どこまでやれたかでこの先が決まる」シーズンになる。ビッグネームだって安閑とはしていられないだろう。たぶん来季は新監督だ。新監督は新しい選手を起用したがる。後半戦、存在感を示すのはとても大事だ。
という考えを巡らせながら函館シリーズを見るのである。侍ジャパンの檜舞台とはまた別の味わいがある。