故障者続出、助っ人不調、打撃コーチの退団……「一致団結」できなかったデーブ楽天
大久保体制1年目、主力選手に怪我人が続出しつつも、若手を我慢強く起用し前半戦は踏みとどまっていたが、田代打撃コーチの退団やオーナーの現場介入報道などが起きた後半戦、チームは最下位に低迷している。すでに大久保監督が今季限りの辞任を示唆する事態に発展している。
2015/09/13
主力選手、故障続出
初Vから一転、楽天の2年連続最下位が現実味を帯びてきた。
球団創設最初10年間を終え、今シーズンから新たな10年史に突入しているイーグルス。ところが、浮揚かなわず低空飛行を余儀なくされている。9月12日、ソフトバンクに大敗を喫し、約2週間ぶりに最下位に転落した。124試合終了時の勝率、今年の.417は昨年の.419を下回っている。
「負けることは全然怖くない。一番恐れているのは、一致団結しなくなること。そうなると持てる力を発揮できなくなる」
昨秋の就任以来、大久保監督が繰り返し口にしてきた野球観だった。
今から思えば、チームスローガンにも掲げた「一致団結」の意味するところには、三木谷オーナーやフロントが推し進めようとしている「フロントと現場の一体化」も含まれていたのかもしれない。
結局、楽天の誤算は、一致団結できなくなったチーム状態にあった。
そもそも今季の誤算の第一歩は、未曾有の負傷者続出から始まる。
昨年131試合に出場、打率.250、7本塁打を残して飛躍が期待された西田は、久米島キャンプ3日目に左足骨折、早々に姿を消した。
守護神候補と目されたミコライオも開幕前に椎間板ヘルニアを発症、いまだに1軍未登板だ。怪我人はシーズンに入ってからも続いた。
5月23日の銀次に始まり、嶋、藤田の主力陣、枡田、伊志嶺、牧田の脇役陣も相次いで戦線離脱。6月21日、遂にはコボスタで宮城県護国神社のお祓いを受ける事態にもなっている。
チームを代表するバットマン・銀次を欠く苦しい状況下にありながらも、嶋、藤田が抹消されるまでの約1カ月間、イーグルスは懸命に踏み止まっている。
和製大砲候補の中川の槍働きや投手陣の頑張り(この頃、防御率はソフトバンクを抜き、一時リーグ1位を記録している)などもあり、13勝9敗と健闘。借金を完済して4位浮上、今季最多の貯金2を作ったのもこの時期だった。しかし、嶋が左肋骨骨折、藤田が右足負傷。センターラインの主力2名が戦列を離れたことで雲行きが悪化。
銀次、嶋、藤田が不在だった6月21日から7月12日までの15試合は3勝11敗1分、大きく負け越した。
第二の誤算は、長打供給と中軸を期待された助っ人が、首脳陣の定まらない起用法にも足を取られ、不振に陥ったことになる。
MLBからNPBへ活躍の場を移したサンチェスとウィーラーはともに4度の登録抹消を経験し、1軍と2軍を頻繁に行き来した。
メジャー通算700試合61発のサンチェスは入団当初、楽天を初Vに導いたマギータイプとの報道もあったが、打率.226、OPS.720、18打点、7本塁打、僅か66試合の出場に止まり、退団の見通しだ。田中将大先発となった昨年7月3日ツインズ戦で放ったメジャー初本塁打が球団関係者の目に留まり楽天入りになったというウィーラーも、最近でこそ調子を上げてきたが、8月18日まで打率は1割台と苦しんだ。NPBの実績十分のペーニャも35打点、15本塁打。球団が期待した走者を返す仕事はできていない。(成績は9月12日時点)