「コメントを通して参加」ニコ生が野球中継を始めた理由【ニコ生プロ野球中継担当者に聞く#1】
みんなで盛り上がる「やきうの時間」――コメントを通じて、またネットメディアの特長を活かした独自色強い野球中継を行っているのが『ニコニコ動画』『ニコニコ生放送』を運営している株式会社ドワンゴだ。ニコ生でなぜ野球中継を始めることになったのか。株式会社ドワンゴの垂澤和成氏に話を伺った。
2015/09/16
ベースボールチャンネル編集部
ニコ生とスポ―ツは相性面、需要面で悪いと勝手に考えていた
――ニコニコ生放送(以下ニコ生)さんはいつ頃からプロ野球と関わりはじめたのでしょうか?
2009年に東北楽天ゴールデンイーグルス(以下楽天)の生中継を開始したのがきっかけです。
2010、2011年も同様に行い、2012年から福岡ソフトバンクホークス(以下ソフトバンク)と横浜DeNAベイスターズ(以下DeNA)が加わり3球団の生放送となりました。2013年も3球団、2014年にオリックス・バファローズ(以下オリックス)が加わり4球団の生放送でした。
今年からDeNAと楽天が生放送で、楽天を除くパリーグ5球団のディレイ放送を当日配信という形で、合計7球団の試合を配信しています。
――DeNAはファームも中継されています。ファームも閲覧数は多いですか?
はい。DeNAの生放送はお客様にすごく人気ですので、そこから紐付いてファーム戦も興味ある人たちが多いということが、コメントや累計を通してわかります。
――今年は各球団(DeNA、楽天、オリックス、ソフトバンク、千葉ロッテマリーンズ、中日ドラゴンズ)のキャンプ中継も好評でした。
特にDeNAのキャンプでは、生中継のカメラ自体を入れていたのが、弊社だけでしたので、より多くのお客様が見に来るキッカケになったのではと思っています。
選手の皆さんがニコ生のカメラの存在に気付いてくれて、カメラに向かって面白いことをやってくださったり、画面上に流れるお客様のコメントを見てくださるといった流れがありました。
――ニコ生さんとして、スポーツというコンテンツはもともとやってみたいコンテンツだったのでしょうか?
そもそも弊社のコンテンツは、アニメやゲームなどが多く、スポーツは行っていませんでした。
そんななかで、楽天が同じIT関連企業ということもあり、一度ニコニコという媒体を使って中継を行ってみたら、コメントと一体感を味わえて面白いのではないかということで09年にスタートしたんです。
それまでスポーツとニコニコ生放送は、あまり相性面や需要面で良くないと思われていたところがありました。
ところが実際に生中継をやってみると、反響がすごく大きくて……球場に行けない人たちもコメントを通じて、楽しく野球観戦に参加できる。それはまさにニコニコならではというところで徐々にニコニコで野球を見るファンの方が増えてきたんです。