【中島大輔 One~この1人をクローズアップ】相内誠、飛躍の3年目とするために必要なスーパーな武器
ある試合の象徴的なワンシーンを切り抜き、その場面の選手の心理や想いを取り上げる連載企画。10月以降はシーズンオフということもあり、試合のワンシーンではなく1人の選手をクローズアップしていく。第4回目は、埼玉西武ライオンズの相内誠だ。飲酒や喫煙……たびたび生活面で問題を起こしつつも、球団は相内の才能を信じて彼と向き合ってきた。そして、今年は2軍で結果を残し、1軍での初先発も経験した。二回の1軍登板から相内にとって収穫と課題が見えてきた。
2014/10/21
誠が一軍で活躍するための課題
場数を踏み、経験値をアップさせることに加え、誠には不可欠なことがある。潮崎二軍監督が指摘する。
「プロ野球の一軍の選手と比べたときに、売りになる部分がないですね。まだ『そこそこコントロールがいい、そこそこ変化球がいい』というくらいで、スーパーな部分がありません。すべてにおいて、そこそこというレベル。いい経験をさせてもらったわけですから、来年はスーパーな部分を手に入れるためにやらないといけない。ストレートを見せ球に変化球で勝負という、典型的な変化球ピッチャーになったほうが成功するだろうなと見ています」
二軍では空振りを奪っていたフォーク、カーブが、一軍の打者には見逃された。緊張で自分をコントロールできなくなり、狙い通りの球を投げられなかったことが要因だ。
現在のボールでも二軍では抑えられるが、一軍で活躍するためには精度を高めていくことが求められる。
潮崎二軍監督が言う。
「完璧なエース級のピッチャーというには、まだまだですね。本人も『目標は岸(孝之)さん』と言っていますから。岸と比べたら、全然足下にも及ばないという形になるでしょう」
高卒2年目にして、すでに一定のレベルはクリアしている。だからこそ指揮官は、高いゴールを見据えるのだ。
誰もが通る道を歩み始めた20歳の右腕は、果たしてエースの座までたどり着くことはできるか。周囲の高い期待を背負い、誠は3年目のシーズンに挑む。