【2014年フェニックスリーグ通信】伊藤光選手は宮崎で変わった~フリーアナウンサー友松純さん フェニックスリーグは選手の素直な表情が見られる場所
ライターの氏原英明氏による、フェニックスリーグのレポートを4回にわたり掲載していく。皆さんは、クライマックスシリーズと同時期に行われているフェニックスリーグをご覧になったことはあるだろうか? 第1回目は近鉄・オリックス・西武とベンチリポーターを務めて12年のキャリアを誇るフリーアナウンサーの友松純さんにフェニックスリーグの面白さと魅力を教えてもらった。
2014/10/19
Hideaki Ujihara
何よりも選手との距離が近い
まず、フェニックスリーグの魅力について。
「距離が近いというのが取材していて面白いなと思います。練習があって、試合があって、試合後の練習があります。その基本形は公式戦などと一緒なんですけど、その距離が近いんです。見れる距離、選手との距離間が近い。球場によっては、すぐそばで見ることもできるので、練習の迫力を感じることもあるし、試合での選手間のやり取り、コーチの指示も聞こえてきます。その距離の近さは、キャンプにもない魅力的なところだと思います」
友松さんは、普段の取材姿勢として、選手・監督の取材をするのは当然のこととして、それのみならず、コーチや裏方さんの声にも耳を傾ける。
結果を残した選手の技術的な変化に着目するのが多くの取材者のやることだが、彼女の場合は、選手の心情の移り変わりにも、注目しているからだ。
数年前のフェニックスリーグでは、当時、ファーム担当だった小川博文現1軍打撃コーチから、こんな声を聞いたという。
「フェニックスリーグの取材をしていると、ファーム担当だった小川さんから『(伊藤)光を見とけよ』って言われたんです。当時の伊藤選手って、怪我とかがあって、一軍に定着していない時だったんですけど、その時、小川さんは『いろんな面で成長した』と、伊藤選手が技術面だけでなくメンタルの部分で変わったと教えてくださったんです。実際に、伊藤選手の取材をしたんですけど、話してくれる内容が変わってきた。次の年から、伊藤選手は1軍でマスクをかぶることになりましたから、ああいう発見ができたのは、すごく勉強になりました」
フェニックスリーグの面白さは、そうしたブレークする選手、あるいは、中堅・ベテランどころの復活を期す選手たちの成長の瞬間を見られるところかもしれない。
友松さんは長くオリックスの担当をされていたから、その話の中心がオリックスになってしまうが、08年には、出場機会に恵まれなかった鈴木郁洋選手が崖っぷちに立たされながら這い上がっていく様をみた。
「鈴木さんは初心に帰って必死にやるという気持ちで、フェニックスリーグに参加されました。フェニックスリーグに参加してきた時はびっくりしましたけど、崖っぷちに立たされた選手がわかばマークをつけ直す感じだったのかなと思います。あの年から2012年まで鈴木さんは現役を続けられましたから、あの時の頑張りが実を結んだのかなと」