親子Vのホークス、中軸固定以外は多様なオーダーでチーム力を高めた工藤采配
1軍は9月17日に独走Vを達成。今季、工藤新監督は中軸を固定する一方で、それ以外は様々なオーダーを組んだが、それが効果的に機能し、チーム力の底上げにもつながった。さらに2軍も9月20日にV4を達成した。
2015/09/22
こだわった4番・内川
一方で、固定されたのはクリーンアップ。左わき腹痛で欠場するまで、そして復帰してからも内川聖一の「4番」にはこだわり続けた。
「つらいことを彼一人に背負い込ませてしまった」と言う工藤監督。内川自身は「4番として打たなければという思いと、キャプテンとしてチームが勝てばいいという両方の思いがあった」と振り返る。
最終回の守備でフライング気味に見せた涙は、そんな様々な思いが入り混じったのだろう。「キャプテンとしてどうするべきか考えて、答えが出ないままやってしまった時期もあった。でも監督から『お前のチームだと思って好きにやってくれ』と言ってもらえて、吹っ切れた部分もあった」と、試合後は清々しい表情を浮かべた。
リーグトップとなる打率.269、防御率3.06のチーム成績を引っ提げての優勝。しかも、これだけのオーダー組み換えがありながら、チーム守備率.988もトップ。失策62はリーグワーストの西武より20個以上少ない。
選手一人ひとりが自分の役割を理解し、その起用に応えようと取り組んだ結果の表れが、このリーグ優勝ではないだろうか。
1軍経験済みの選手が多い2軍もV4を達成
ソフトバンクの強さは1軍だけにとどまらない。
2軍も9月20日にウエスタン・リーグでの優勝を決めた。4年連続の優勝は史上初。一時は首位の広島に7.5ゲーム差をつけられながらも、夏場に追い上げ一気に加速。最終的には5.5ゲーム差をつけてのV4を成し遂げた。
今季から指揮を執る水上善雄監督は若鷹の成長に手応えを感じながらも、2軍は優勝することを目的にしているわけではないと話す。
「ファームは勝つための最善の方法を考えて行動できるようにする場所。1軍へレギュラークラスの選手を送り出すことが2軍の役割です」と、あくまで1軍の優勝を目的として「育成と勝利」をテーマに取り組んでいる。
首位打者の見えてきた2年目の上林誠知は、1軍でも満塁ホームランを放ち、来季への期待が高まる。投手陣では勝率、防御率などソフトバンクが上位を独占。
中でも岩嵜翔(10勝2敗防御率1.50)、千賀滉大(9勝2敗防御率2.00)は他を圧倒する数字を誇る。1軍のマウンドも経験している彼らは、将来の投手陣の柱となるだろう。
親子Vを達成し、次なる目標はもちろん日本一。「頼もしい選手に恵まれて僕は幸せです!」と笑みをこぼした工藤監督は、ポストシーズンどんな采配を振るうのか。「ホークスらしい戦いをすれば勝てる自信はある。全員で日本一を掴み取りにいく」と、松田宣浩選手会長は頂点を誓った。
※成績は9月20日時点