ホークスの強さの秘密は、充実したファームシステムにあり【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は圧倒的な強さでパリーグ2連覇を果たしたソフトバンクの強さの秘密についてだ。
2015/09/18
貯金「47」で圧巻のリーグ2連覇
まさに圧勝だった。ソフトバンクは、まだ16試合も残して85勝。ここまで2勝1敗以上のハイペースで長いペナントレースを戦ってきたことになる。
多くの人が指摘するようにソフトバンクの力の源泉は、圧倒的な層の厚さにある。レギュラーだけでなく、控えも、さらにはファームさえも充実しているのだ。
それを如実に物語るのが、一、二軍の成績である。
ホークスがソフトバンクと改称してからのパリーグと二軍(ウエスタンリーグ)の成績を並べてみる。ウエスタンリーグは投打の主要タイトルホルダーも紹介した。タイトルの黄色はソフトバンクの選手を示す。
創設当初からリーグ中位以上の戦力があったソフトバンクだが、2010年以降は6年で4度の優勝。二軍もそれに歩調を合わせるようにこのところ4連覇。さらにウエスタンリーグのタイトルホルダーもここ6年は、過半数をソフトバンク勢が占める。
柳田悠岐、中村晃など現在の主力選手の名前も見られる。充実した二軍から一軍に戦力が絶えず供給されていることがわかる。
今年の成績を見ても、ソフトバンクの層の厚さは圧倒的だ。今季のパリーグとウエスタンリーグの打撃ランキングをまとめた。
パリーグの打撃ランキング上位には、ソフトバンクの選手がひしめいている。
トリプル3が確実視される柳田、シュアな安打製造機中村、そして打点を稼ぐ李大浩、クラッチヒッターの松田宣浩、さらにチームリーダーの内川聖一と6人がベスト10以内に入っているのだ。
ウエスタンリーグでも先日、派手な一軍デビューを飾った上林誠知を筆頭に4人が上位に名前を連ねている。
一軍のレギュラー陣にとっては、いつでも取って代わることができる手ごわい選手がファームにいることになる。大きな発奮材料だ。
投手陣はやや事情が異なる。今季のパリーグとウエスタン・リーグの防御率ランキングだ。
今年のソフトバンクの投手陣は決して万全とは言えなかった。攝津正、昨年復活してから大活躍をした大隣憲司、寺原隼人などの先発投手がシーズンを通して十分に働けなく、日本ハムの大谷翔平のような絶対的なエースはいなかった。パリーグのランキングでのソフトバンク投手の分布がそれを物語っている。
しかし、ずばぬけた投球はしないが、試合を作ることができる投手はたくさんいた。リーグ一の援護もあって、投手陣は総合力で戦い抜いたのだ。
その力の源泉もファームだった。ウエスタン・リーグの規定投球回数以上の8投手のうち4人がソフトバンク。一昨年、快速球で売り出した千賀滉大、元西武の先発左腕だった帆足和幸など、他球団なら上で投げているはずの投手が、二軍でフル回転していたのだ。
主戦投手が故障しても、すぐに補充が利く。主力と控えの差が少なく、戦力ダウンの幅が小さいのが、ソフトバンク投手陣の最大の強みだ。
ここでは割愛したが、救援陣にも同様のことが言える。