ホークスの強さの秘密は、充実したファームシステムにあり【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は圧倒的な強さでパリーグ2連覇を果たしたソフトバンクの強さの秘密についてだ。
2015/09/18
育成選手中心の「三軍」でもシーズン80試合を消化
なぜこんなに充実した陣容を作ることができたのか。スカウトが優秀だったのか? 指導者の育成方針が良かったのか?
確かにそういう部分もあるだろう。しかし、ソフトバンクは他の11球団と決定的に違う部分があるのだ。
昨日時点での12球団の選手の陣容をまとめた。
NPBの支配下選手は70人と定められている。それ以外の選手は「育成枠」になる。ソフトバンクの選手数は、支配下選手69人+育成枠20人の89人。12球団で最も多い。しかし、ソフトバンクの強さの秘密は、選手数の多さにあるのではない。
ソフトバンクは、育成枠の選手を中心に「三軍」を編成し、独立リーグ四国アイランドリーグplusのリーグ戦に「交流戦」という形で参戦している。
四国側にとって交流戦は公式戦になっているので真剣勝負だ。最近の独立リーグはレベルが上がってNPBのファームとの力量差は小さくなった。毎年好勝負を展開している。
これ以外にも大学や社会人、韓国プロ野球との試合も組み、1シーズンで80試合近くを消化しているのだ。
三軍は広島にもあるが、現在3人だけ。これも含め他球団の育成枠選手は、70人枠から漏れた選手、というだけの扱いだ。各球団のファームの選手は育成枠も含め、4~50人もいるから、二軍戦への出場機会は少なくなる。
各球団も公式戦以外にフューチャーズや交流戦など、試合数を増やすべく努力をしているが、それでもかなりの数の選手がほとんど試合に出ることなく、練習に明け暮れているのが実情だ。出場機会が限られれば、健全な競争環境を作るのは難しくなる。