ホークスの強さの秘密は、充実したファームシステムにあり【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】
ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。今回は圧倒的な強さでパリーグ2連覇を果たしたソフトバンクの強さの秘密についてだ。
2015/09/18
MLBを参考に整備したファームシステム
ソフトバンクの一軍、二軍、三軍は、実戦を通して常に競争している。選手の移動も頻繁だ。昨年前半には、難病を克服した大隣が四国アイランドリーグplusとの交流戦で実戦に復帰し段違いの好投をし、一気に一軍に駆け上がったが、ファームも含めたチーム全体が競争しあう中で、柳田のようなスケールの大きな選手も登場したのだ。
MLBでファームシステムを整備したのは、1916年のセントルイス・カージナルスが最初だ。GMのブランチ・リッキーは、黒人初のMLB選手ジャッキー・ロビンソンの生みの親として知られるが、ファーム・システムのパイオニアでもあった。
「大物選手を高額で引っ張ってくるよりも、無名の若手選手を自分たちで育成するほうが安上がりだ」という考えに基づいてマイナー球団を傘下におき、子飼いの選手を育成、強豪チームを作ったのだ。
ソフトバンクもそんなカージナルスのように、ホークスのファームシステムを見事に構築し、強豪チームを作り上げた。
形だけのファームではなく、健全な競争環境を創出することで、有望な若手選手を次々と生み出すことに成功したのだ。そのコストは、小さくはなかっただろうが、大物選手を獲得するよりも確実性の高い投資だったのは間違いない。
他球団がこれに追随したとしても、選手育成には時間がかかる。ソフトバンクの優位はここしばらく動かないのではないか。