「こういう状況でプレーしたかった」マジック点灯かけ、巨人との『決戦』に闘志燃やすバレンティン【新・燕軍戦記#13】
決戦の時が来た。24日にセリーグ一番乗りでクライマックスシリーズ進出を決めたばかりの東京ヤクルトスワローズは、今日26日から敵地・東京ドームに乗り込み、2位巨人との直接対決に臨む。結果しだいでは14年ぶりの『セ界制覇』へのマジックナンバーが点灯する大事な2連戦に向け、闘志を燃やしているのがおよそ5カ月ぶりに戦列復帰したウラディミール・バレンティンである。
2015/09/26
真中監督「チームに勇気を与える素晴らしい走塁」
復帰2戦目の9月19日の巨人戦(神宮)。試合前は「足の状態はまだ万全ではない」と言いながらも、1点ビハインドの2回に左翼線へ痛烈な打球を放つと、バレンティンはためらうことなく二塁を陥れた。さらに続く五番・雄平の中前打に好スタートを切り、一気に三塁を蹴ってホームへ全力疾走。クロスプレーとなったが、滑り込みながら左手で巧みにベースタッチし、試合を振り出しに戻した。試合後、真中満監督も「本当にアグレッシブで、チームのみんなに勇気を与えるような素晴らしい走塁だった」と称賛するほどだった。
復帰から5試合出続けた反動か、23日の広島戦(神宮)では足に張りを訴え、先発メンバーから外れた。それでも翌24日の横浜DeNA戦(神宮)でスタメンに復帰。5回の守りでは、レフトのファウルゾーンに上がったフライに猛然と突進し、フェンス際でスライディングキャッチも試みた。一度はグラブに収まったかに見えたボールがこぼれ落ちると、悔しそうに手のひらで地面を叩いた。
ハッスルプレーの反面、凡打に倒れると一塁までゆっくり走ることもあるが、けっして手を抜いているわけではない。首脳陣からは「くれぐれも無理はしないように」とクギを刺されている。それでも「チームのみんなが一生懸命やっているので、自分だけやらないわけにはいかない。必要な時は一生懸命走るし、必要なければ無理はしないが、自分のできる範囲で一生懸命やる」と言う。すべては「チャンピオン」になるためだ。
「過去に(シアトル・マリナーズ傘下の)ルーキーリーグとドミニカのウインターリーグで優勝したことはある。でも、オレは日本で、ヤクルトでチャンピオンになりたい。そのためにはどんな形でも勝利に貢献するつもりだ」
バレンティンはここ数試合、試合前の円陣で「声出し」をするのが恒例となっている。21日の阪神戦(甲子園)で通訳を介してナインを鼓舞してから、チームは4連勝。連勝中は同じ人間が声出し役を続けるのが決まりで、「東京ドームでも頑張る」と笑う。
26日から東京ドームで行われるその巨人との2連戦では、ヤクルトが1つ勝てばマジック3が点灯。連勝すれば、マジックは一気に1となる。
「常にこういう状況でプレーしたいと望んでいたし、プレッシャーは感じていない。(巨人との2連戦も)勝てるように必死にやるだけだ。とにかく勝つことが先決。マジックのことを考えるのは、それからだよ」
夢見続けてきた優勝に向け、避けては通れない巨人との『決戦』。その大一番を前に、バレンティンは静かに闘志を燃やしている。