【データで選出9月月間MVP】広島・鈴木誠也が両リーグ断トツ。オリックス・山本由伸の連続1位を止めたのは?
2021/10/05
鈴木の打撃は平均的な打者に比べ、22点多く得点を増加させる貢献度
評価には(1)セイバーメトリクスの一手法を用いて選手のはたらきを得点換算し、(2)同じ出場機会を「平均的な成績の選手」が担った場合のはたらき(得点)を基準(=0)に置き、どれだけ上積みをつくったかという推定値を算出して行った。「平均的な成績に対して大きな差をつくり」、また「その状態で多くの出場機会を重ねていく」ことで増えていく数値なので、質と量、両面での貢献を見ることとなる。図中の[]で囲んだ項目でグラフが右に伸びているものはリーグ平均以上、左に伸びているものは平均以下だった数値だ。
まずは野手から見ていこう。パ・リーグでは茂木栄五郎(楽天)、セ・リーグでは鈴木誠也(広島)が、それぞれ11.7点、22.9点で最大の貢献を果たした。
鈴木は9月に6試合連続を含む13本塁打を放ったことで大きな注目を集めた。だがすごいのは本塁打だけではない。二塁打も6本放ち、32安打のうち半数を超える19本が長打。また同時に20の四球も獲得し、出塁面でもチームに貢献した。打撃だけで平均的な選手に比べチームの得点を22.0点多く増やしたという評価は、9月に好成績を残した選手の中でも図抜けた驚異的なものである。
ほかには柳田悠岐(ソフトバンク)、杉本裕太郎(オリックス)、坂本勇人(巨人)、村上宗隆(ヤクルト)らが+10以上の打撃貢献を残している。セパともにリーグを代表するスラッガーたちが順当に好成績を残した月だったようだ。
遊撃定着の楽天・山﨑が好成績。三塁・茂木と強固な三遊間を形成
守備評価には同じイニングを守った平均的な同ポジション選手と比較してどれだけ失点を防いだかを表すUZR(Ultimate Zone Rating)を使用する。しかしUZRは同ポジションの選手との守備を比較する指標であるため、今回のように異なるポジションの選手を比較する際は、ポジション間の補正を行う必要がある。一般的に高い守備力、もしくは独自性のあるスキルを要するポジション(遊撃手や二塁手、捕手など)を守った選手はプラスに補正をかけ、その逆のポジション(一塁手や左翼手など)はマイナスの補正をかけるといった具合だ。この守備位置補正をUZRに加えたものが守備貢献となる。
守備では9月、遊撃での出場機会が増加した山﨑剛(楽天)が好成績を収めている。遊撃という重要度の高いポジションを守っていることも含め、山﨑の守備は平均的な選手に比べ5.2点分の価値があったと評価できる。
ちなみに楽天では三塁の茂木も4.8点と好成績を収めた。9月の楽天は茂木と山﨑の三遊間で多くの失点を防いでいたようだ。また打撃面では突出していなかった茂木が総合貢献でトップになったのも、この守備力の高さによる部分が大きい。
2人以外では坂本、山田哲人(ヤクルト)らも好守備を見せていたようだ。