2年連続最下位から1年でV争いへ――12球団最年少・真中監督の手腕
現在、首位を走り、巨人と熾烈なV争いを繰り広げるヤクルト。2年連続最下位だったチームを今季就任した真中満監督はAクラスへと導いた。
2015/09/27
若い伸びしろのある選手が多いからこそ
今季、そんな真中流の指導法は見えないところで随所に現れている。
たとえば勝負どころの局面で指揮官はネクストバッターズサークルに立っている打者をベンチへ呼び寄せると、作戦上の細かい指示とは別に「思い切っていけ。どんな結果になっても責任はオレが取るから心配するな」と耳打ちすることが多くあると聞く。こう言われて意気に感じない選手などまずいない。真中監督からさりげない気配りをかけられながら、若燕たちはプレッシャーにさいなまれることなくノビノビと真価を発揮できているのである。
報道陣の前で選手批判を口にすることもない。
特定の選手にゲキを飛ばしたり、発奮を促したりするにしても真中監督はミーティングの場でなく1対1で向き合って言葉をかけることを徹底させているという。それこそ公開処刑のような形を取れば、逆にチーム内にギクシャクしたムードを生み出す危険性があるからであろう。
このように若い選手たちの気持ちを腐らせず、どんどん乗せていく術はスワローズのユニホームを1993年のルーキーイヤーから着続け〝縁の下の力持ち〟のスタイルを今も貫く真中監督にしかできない。
「1つ言えることは、投手にしても野手にしてもウチには若い選手が多いということ。まだまだ去年とか一昨年に比べると伸びしろがある。その選手たちが飛躍してグングン成長してもらえれば、優勝を狙えるチームになると思います」
今季開幕前、報道陣にそう言い切っていた真中監督。シーズン佳境の今、その言葉をしっかりと現実化させている手腕は本物だ。