首位打者・最多安打の初タイトル。無安打はわずか33試合、チームのために打ち続けた川端慎吾
14年ぶりにセリーグを制したヤクルト。中でも後半戦に2番に再び定着した燕の安打製造機・川端慎吾の存在は大きい。
2015/10/05
チームの勝利のために
今季を振り返ってみると無安打に終わった試合は143試合中33試合(今季公式戦最終戦となった4日の巨人戦は2打席で途中交代)しかない。
公式戦では.7692の非常に高い割合で1試合に1本以上の安打を打っていた計算になる。いわゆる「固め打ち」をするタイプではない。
ノーヒットに終わった試合も連続して2試合を超えることはなく「燕の安打製造機」として実に110試合で快音を響かせながらリーグ屈指の強力なスワローズ打線を支えてきた。
イケメンでルックスもいい川端だが、こうした仕事ぶりには何か渋味が漂う職人気質なところも感じられる。
自身の打撃二冠にはほとんどと言っていいほど興味を見せずにリーグ優勝、そしてその先にある日本一しか眼中にないことを周囲に強調していると聞く。
これだけ頑張っているのだからメディアに対して「チームの優勝はもちろん、その次に個人タイトルも獲れたら最高です」と多少のリップサービスぐらいは口にして良さそうな気もするが、川端の辞書にはそういう打算的な姿勢は皆無なのであろう。
野球は個人競技ではなくチームの面々、全員で戦うスポーツ。だからこそ本当にほしいものは、チームの皆で喜びを分かち合うこと――。
そういう「フォア・ザ・チーム」の姿勢を貫いている川端の存在は今後クライマックスシリーズを勝ち抜き、14年ぶりの日本一を目指すヤクルトにとって何物にも代えがたいほど大きい。