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【広尾晃の「ネタになる記録ばなし」】ドラフト直前、選手を見抜く“眼”と育てる“腕”を持つ球団はどこか?

ブログ「野球の記録で話したい」を運営中で『プロ野球解説者を解説する』(イーストプレス刊)の著者でもある広尾晃氏。当WEBサイトでは、MLBとNPBの記録をテーマに、週2回、野球ファンがいつもと違う視点で野球を楽しめるコラムを提供していく。第10回目は「過去5年のドラフト獲得選手の成績から、球団のスカウティング力と育成力」を考えてみた。

2014/10/20

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1位指名が活躍の巨人、若手が躍進のカープ

 次にセリーグを見てみよう。

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  巨人は安打数では12球団で3位だが、このうち767本を長野久義が打っている。また、勝利数92も2位だが、のうち澤村拓一が31勝、菅野智之が25勝があげている。
 1位指名の大物新人に数字が集中しているのが特徴で、その選手たちが即戦力としてチームに大きく貢献している。

 その反面、2位以下の選手の活用が物足りない。常に毎年、積極的な補強を行い巨大戦力をもつチームを象徴しており、いかにレギュラーで出場するのが困難かを物語っている。ノーブランドの選手にとって、生き残りが非常に厳しい。

 阪神は投打ともにさえない。安打数は2009年5位の藤川俊介(現俊介)の176本が最多。勝ち星は2012年1位の藤浪晋太郎が21勝、2010年1位の榎田大樹の13勝。主力級に育ったのは藤浪だけだ。

 広島は2012年を除き、毎年のように主力級が出てきている。勝ち星は2011年1位の野村祐輔の28勝、安打数は同年2位の菊池涼介の367本。今年の田中広輔も含め、1位だけでなく2位、3位からレギュラーになる選手が出ているのが特徴。今の広島の上げ潮ブームはまさにこうした若手が担っている。

 中日は2位の887安打。2009年ドラフト5位の大島洋平が636安打。下位指名の「大穴」が当たった感がある。
 今季は2位の又吉克樹、5位の祖父江大輔がセットアッパーとして大活躍した。もともと救援投手を育てるのがうまいチーム。ポスト岩瀬仁紀、浅尾拓也として来季以降さらに期待がかかるところだ。

 DeNAは2009年1位の筒香嘉智が254安打、翌年2位の荒波翔が323安打、投手では2012年3位の井納翔一が通算16勝、今季11勝でチームの中心選手に成長した。
 下位に低迷しているチームだけに、若手にチャンスが多く回ってくる。無名選手でも大いにチャンスがあるのだ。

 ヤクルトは2010年ドラフト1位の山田哲人が今季セ最多安打の193本。通算303本。昨年新人王、最多勝の小川泰弘が25勝。2013年3位の秋吉は3勝5セーブ、19ホールドをマークし、シーズン終盤には抑えも務めた。

 真中新監督にとって、こうした若い選手が主力になるはずだ。

 こうしてみると、当然の話だが下位に低迷しているチームほど若手の抜擢が多く、選手層の厚いソフトバンクと巨人は、2位以下の若手選手をなかなか活用しきれていない現状がある。
 次世代を担う新しい才能が出てくるのを見るのは楽しみだ。今年はどんな逸材がどのチームに入るのだろうか。

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