”ストライクが入らず”――CS進出懸けた大一番で露呈した、菊池雄星の致命的な弱点【中島大輔 One~この1打席をクローズアップ】
9月28日のロッテ戦。クライマックスシリーズ進出残り1枠をめぐる争いの中、ライオンズにとっては大一番だった。先発予定だった岸の登板回避により、マウンドに上がったのは菊池雄星。しかし、ここ一番で課題が露呈した。今回は、3回表・先頭打者の清田育宏との対戦をクローズアップする。
2015/10/01
対戦相手によって変わる、雄星の表情
8月12日の日本ハム戦に5回5失点で敗れた翌日、捕手の炭谷銀仁朗はこう話している。
「悪くなかったけど、みんなが言っていたのは、『楽天、オリックスに投げているときと表情が違う。ランナーを出すと、自信がなさげになる』。脇谷さんもそう言っていました。メンタルの問題なのか、どうなんでしょうね。きれいに上ふたつには勝っていなくて、下には勝っていますからね。ロッテとはとんとんですし」
順位表が示すように、今季のパリーグではソフトバンクの実力が抜けていて、日本ハムが次を追う力関係だ。正直、西武もロッテも大きく引き離され、クライマックスシリーズから日本シリーズを狙うような力はない。そうした上位2チームに対し、菊池は5戦5敗、防御率5.28と打ち込まれているのだ。
球自体を見れば、今季の菊池はスケールを増した体から豪球を投げ込んでいる。オリックス戦と楽天戦に限れば4勝1敗、防御率1.71と、肩の力が抜ける相手に対しては抜群の投球を見せているのだ。
昨季までの過去5年間はマウンドで考えすぎるあまり、結果を残せなかった。そう自覚する菊池は春季キャンプに臨む数日前、今季についてこう話している。
「泥臭く、とにかくガムシャラに投げて、気持ちを出して投げたいなと思っています。そうすれば、結果がついてくると思うし。去年は技術、技術でいろんなことを考えすぎて、リズムも悪かったし。それが野手も伝わっていたと思うので。今年は投げっぷりよく、迷いなく投げられれば、結果もついてくると思っています」
だが今季、力強い球を投げながら、気持ちのコントロールをし切れない1年だった。5月下旬、炭谷はこう指摘している。
「いい球と悪い球がはっきりしすぎるので。あとはメンタルでしょうね。急に良くなったり、崩れたりするので」