”ストライクが入らず”――CS進出懸けた大一番で露呈した、菊池雄星の致命的な弱点【中島大輔 One~この1打席をクローズアップ】
9月28日のロッテ戦。クライマックスシリーズ進出残り1枠をめぐる争いの中、ライオンズにとっては大一番だった。先発予定だった岸の登板回避により、マウンドに上がったのは菊池雄星。しかし、ここ一番で課題が露呈した。今回は、3回表・先頭打者の清田育宏との対戦をクローズアップする。
2015/10/01
自身初の二けた勝利とはならず
9月28日、ロッテとの大一番では序盤から崩れた。初回は四球が絡んで1失点。2回は2死から田村龍弘、荻野貴司に連続四球を与える一人相撲を見せた。
味方が2点を奪って逆転してもらった3回、ここでも立て直すことができなかった。先頭打者の清田育宏との対戦は、心理状態の差が結果につながった格好だ。
フルカウントとなった直後、菊池はストレートを続けていく。清田はファウルで3球粘った。変化球でストライクのとれない菊池に対し、清田は甘い球が来るまで我慢していた。そうして迎えた10球目、こらえ切れなくなった菊池が四球で歩かせる。続くデスパイネに対して1ボールから2球目、ファーストストライクの150kmストレートをライトポールに直撃されたのだ。
味方が逆転してくれた直後は、セオリーでは絶対にゼロで抑えなければいけないイニングとされている。シーズンの大一番、菊池はそうした場面で四球と本塁打で再逆転を許し、チームは流れを引き戻すことはできなかった。
試合後、肩を落とした指揮官は菊池の投球をこう振り返っている。
「力みというか、ストライクが入らない。簡単に3ボールにして、真っすぐでストライクを取りにいって痛打される。ストライク先行に持ち込めない。雄星くらいの力のあるボールなら、ストライク先行で行ってほしいところをボール、ボール。一皮むけてくれるためには、そういうところをクリアしてくれないとレベルが上がってこない」
左肘の炎症で出遅れた今季は21試合に登板し、先発として9勝10敗と自身初の二けた勝利に届かなかった。大器と言われて入団し、飛躍を期待され続けての6年目、「強い相手に勝てない」という勝負師として致命的な弱点を抱えたままシーズンを終えようとしている。
投げる球は着実に凄みを増している一方、勝負どころで弱気が顔を覗かせ、結果を残すことができない――。
果たして来季、菊池はこの壁をつき破ることができるのか。簡単な命題ではないものの、これができない限り、一流の投手にはたどり着けない。
※今季のデータは9月29日時点