【データで選出10・11月月間MVP】丸佳浩がシーズン終盤に巻き返し。髙橋遥人は2ヶ月連続で圧巻の内容
2021/11/09
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10・11月に山本由伸を上回ったパ・リーグの投手は?
投手の評価も質と量両面でどれだけ貢献したかから求める。質は「奪三振」、「与四死球」、「被本塁打」、「ゴロかフライかライナーかといった打たれた打球の種別」、量は「投球回」によって決まり、そこから平均的な投手と比較しどれだけ多くの失点を防いだかを算出する。
投手部門ではパ・リーグは上沢直之(日本ハム)、セ・リーグでは髙橋遥人(阪神)がそれぞれ7.0点、7,4点でリーグトップの失点抑止能力を見せた。髙橋は本企画において2ヶ月連続でセ・リーグトップと、故障からの復帰後圧倒的な存在感を見せている。
上沢が優れていたのは与四球を出さない能力だ。上沢はこの期間、20.2イニングを投げ77人の打者と対戦したが、与えた四球はわずか1つ。打者あたり1.3%の割合でしか四球を出さなかった。2位の山本由伸(オリックス)は上沢をはるかに上回る32イニングを投げていたが、ここでは投球の質で上回った上沢が最高評価を得ている。
セ・リーグトップの髙橋は奪三振や与四球の面でも非常に優れていたが、打者からゴロを打たせる面でも素晴らしい貢献を見せた。リーグ平均が45%程度となるゴロ率で、10・11月の髙橋は60.3%と高い値を記録している。
髙橋の投球は四球によって走者を許すことが少なく、また三振の多さによって打球が発生することが少ない。そしてその発生した打球の多くも、長打になりづらいゴロになる。こうして数字から想像するだけで、髙橋がいかに攻略困難な投手であるかがわかるだろう。今季は9月以降のみの稼働にとどまったが、フルシーズンこのような投球が続けられるようなら圧倒的な成績が残ってもおかしくはない。
DELTA(@Deltagraphs)http://deltagraphs.co.jp/
2011年設立。セイバーメトリクスを用いた分析を得意とするアナリストによる組織。書籍『プロ野球を統計学と客観分析で考える デルタ・ベースボール・リポート1~4』(水曜社刊)、電子書籍『セイバーメトリクス・マガジン1・2』(DELTA刊)、メールマガジン『1.02 Weekly Report』などを通じ野球界への提言を行っている。集計・算出した守備指標UZRや総合評価指標WARなどのスタッツ、アナリストによる分析記事を公開する『1.02 Essence of Baseball』(https://1point02.jp/)も運営する。