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ソフトバンクの独走を招いた、オリックスの低迷。CSでは日本ハムの番狂わせに期待【小宮山悟の眼】

ペナントレースもいよいよ大詰め。クライマックスシリーズ出場チームが決まり、ポストシーズンへ突入する。その前に簡単にシーズンの振り返りと、クライマックスシリーズの展望に言及したい。まずはパリーグからだ。

2015/10/07

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2強4弱の図式は05年シーズンに似ている

 実は、今季のパリーグの2強4弱という図式は、05年シーズンの展開と非常によく似ているのだ。

 その年、我々ロッテは開幕から好調で、交流戦でも優勝。84勝49敗3分という好成績を残したものの、ソフトバンクの数字には届かず、レギュラーシーズンを2位で通過した。当時の我々ロッテと、今季の日本ハムのチーム状況がダブって見えるのだ。

 結果として05年に我々は、プレーオフでまず西武を破り、3勝先取のセカンドステージでソフトバンクも撃破。当時のルールにより、パリーグ優勝を果たし、日本一、アジア一も掴み取った。

 この短期決戦でなぜ驚異的な強さを発揮できたのか、振り返って分析してみると、ポイントはプレーオフ第1ステージの西武戦にあったように思う。

 実は、プレーオフが始まる前、ロッテのチーム内には危機感が蔓延していた。

「2勝先取のチームが勝ち上がる短期の戦いで、(松坂)大輔と西口(文也)を相手にしなければならない。レギュラーシーズンで5割にも満たない成績しか残せなかった西武にそれで敗れたら、俺たちのシーズンは何だったんだ!」

 そういう不安を感じていたのだ。迎えたプレーオフ。我々ロッテは、大輔、西口の2大エースと対戦した試合を2-1、3-1と競り勝った。この勝利で完全に勢いが付いたのだ。元々チームワークの良い集団だったが、さらにチームのムードが高まったのを憶えている。

 今季の日本ハムが、クライマックスシリーズを勝ち抜けるかどうかも、3位チームと対戦するファーストステージでいかに勢いをつけられるかにかかっているだろう。その勢いと、ソフトバンクが実戦から遠ざかって勝負勘が鈍るという状況がうまく重なり合えば、番狂わせは十分に起こり得るはずだ。

 ただ、この勢いをつけるという点で、気がかりなことが一つある。
 それは今の日本ハムに、当時の我々が3位チームに対して抱いていた恐怖心があるように、まったく感じられないことだ。

 クライマックスシリーズ進出の残り1枠は、し烈な争いを制してロッテとなった。日本ハムにとっては、仮に西武、ロッテどちらが勝ち上がってきても問題ないと捉えているように見えた。レギュラーシーズンでの対戦成績を考えれば、当然のことだろう。

 本来チームの勢いというものは、強敵を倒してこそ生まれるものなのだが……。

 個人的には、今年もポストシーズンでの熱い戦いを期待している。そのためには日本ハムの頑張りは不可欠だ。

 決して悪意はないが、最後くらいは、圧倒的強さを誇った今季のソフトバンクの焦る姿を見てみたい。

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小宮山悟(こみやま・さとる)

1965年、千葉県生まれ。早稲田大学を経て、89年ドラフト1位でロッテ・オリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)へ入団。精度の高い制球力を武器に1年目から先発ローテーション入りを果たすと、以降、千葉ロッテのエースとして活躍した。00年、横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)へ移籍。02年はボビー・バレンタイン監督率いるニューヨーク・メッツでプレーした。04年に古巣・千葉ロッテへ復帰、09年に現役を引退した。現在は、野球解説者、野球評論家、Jリーグの理事も務める。

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