復活を期す『左のおかわり』。埼玉西武ライオンズ・坂田遼の覚悟
「左のおかわり」と称される強打者、埼玉西武ライオンズの坂田遼は、ここ数年レギュラーの座をつかみかけながら、脱臼による怪我で不本意なシーズンを送っている。坂田がいない間に木村など、続々と新しい選手が現れてきた。しかし、坂田の強打は、ライオンズ浮上に絶対に欠かせない。フェニックスリーグで実践感覚を取り戻しながら、来季の逆襲を誓う。
2014/10/27
Hideaki Ujihara
外野1枠をめぐる、熾烈なポジション争い
プロ野球選手の価値は、試合に出場してこそ出てくるものだと思う。
晩年になって「代打の切り札」と呼ばれて評価されるのは特定の人間にだけ許されるもので、基本的に、プロ野球選手とは、試合に出て、ナンボの世界である。
こんな書き出しをしたのは、西武ライオンズの外野手争いが熾烈であるからだ。
私の滞在期間中に南郷スタジアムを訪れると、その熾烈さがひしひしと伝わってきた。
そこには、今季の前半、右翼手のレギュラーを張った木村文紀、9月にプロ初の本塁打を逆転サヨナラで飾った斎藤彰吾ら、今季1軍の試合に出ていたメンバーが何人もいたのだった。
西武の外野陣は、左翼手がキャプテンの栗山巧が務め、中堅手のレギュラーは秋山翔悟。ほぼ2ポジションは確定している。今季の秋山が不調だったから、隙がないわけではないが、ほぼ1つか、1、5のポジションを5、6人で争っているのである。
フェニックスリーグでは、本来は外野手であるはずの熊代が内野守備の練習をやっていたのも、その影響からであろう。
それほど、西武の外野守備陣の層は厚く、争いはし烈だ。
そんなメンバーの中で、特に、気になっている選手がいた。実は、今回、南郷を訪れたのも、その選手に会いに行くためだった。
怪我に泣かされ続ける「左のおかわり」
坂田遼。
豪快なフルスイングが持ち味の中距離ヒッターだ。「左のおかわり」と時に呼ばれるが、彼の何よりの持ち味は積極的なスイングだ。初球であろうが、追い込まれていようが、フルスイングができる。さらに、フォロースルーを大きくする決めポーズが様になっていて、個人的には好きな選手だ。
昨季は53試合に出場、.289の率を残し、6本塁打34打点。特筆すべきは長打率で.450というハイアベレージを残している。
中村剛也や浅村栄斗の後ろにいる打者として、怖い存在感を放っていた。
しかし、その坂田の今シーズンはほろ苦いものだった。OP戦では、5番を任されるなど、クリーンアップとして期待されたが、結果を残せないでいると2軍落ち。そして、入れ込みすぎた坂田は、守備時のプレーで左肩を脱臼してしまうのである。前年に続く怪我だった。
手術に踏み切った坂田は、全治6カ月。「手術すれば時間が掛かる」と想定していたとはいえ、結果、1年間、まるまる棒に振ることになったのだった。
実戦には10月を前にして復帰。1軍には上がることなくシーズンを終えただけに、復活を期して参加したこのフェニックスリーグで、坂田がどんな気持ちでいるのか、気になっていた。
実際、坂田は、今、どんな想いでいるのか。